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Bo Diddley – Another Dimension (1971)

 本作を発表するまでの数年間、Bo Diddleyはブルースをサイケデリックに変換する試みやステージ上でのオールディーズの再演に費やしていた。70年代を迎えてからは、当時のブラック・ミュージックの最先端だったファンク・サウンドを大々的に取り入れて自らの新次元を開拓しようとした。
 ジャケットからもうかがえるが、前作の『The Black Gladiator』と比べるとサイケデリックの風味はやや抑えられている。カバー曲を取り上げたThe BandやCreedence Clearwater Revivalといったグループはいずれもサイケデリックの潮流にいち早く背を向けた面々であり、Bo Diddleyはこうしたサザン・ロックのサウンドに重厚なグルーヴを果敢に盛り込んでいった。
 「The Shape I'm In」はRobbie Robertsonが書いた曲の中でも最もファンキーなサウンドだったが、オリジナルにはなかったブラスやおなじみのCookie Veeのコーラスが加わったおかげで、Bo Diddleyならではの味わいが生まれた。「I Love You More Than You'll Ever Know」は後にDonny Hathawayも取り上げたスロー・ブルースだ。作者であるAl Kooper本人もオルガンで参加し、アルバム中で最も忠実な方法でカバーされている。
 注目すべきものは見事なファンク・チューンの「Pollution」や、今までになく強気なブルース・ロックの「I Said Shutup Woman」といったオリジナル曲にもある。特に後者にはMuddy Watersらと繰り広げた『Super Blues』のあのピリピリとした緊張感が息づいている。