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The Dirty Blues Band – Dirty Blues Band (1967)

 ギタリストGlenn Ross Campbellはサイケデリック・バンドThe Misunderstoodにおける強烈な演奏で無二の個性を放っていたが、バンドは67年に解散した。70年の『Juicy Lucy』でヒットを放つまでの間、CampbellはハーピストRod Piazza率いるThe Dirty Blues Bandのファースト・アルバムに参加した。
 Piazzaと一騎打ちの勝負を繰り広げるような爆音のソロの応酬は、クセの強いブルースウェイ・レーベルのレコードの中でも特に印象深い。Piazzaの敬愛したRice Millerのナンバー「Don't Start Me To Talkin'」、「Checking Up On My Baby」を取り上げているが、特に後者の挑戦的な曲のアレンジが印象に残り、隙あらばCampbellのギターもうねりをあげる。
 しかし、嵐のようなセッションの中で光を放つのはCampbellとPiazzaの二人だけではない。「What Is Soul, Babe?」ではファンキーなグルーヴの中でRobert Sandellのクールなギターが冴えており、「Hound Dog」でのPat Maloneが聴かせるフリーキーなオルガン・ソロも見事の一言だ。また、彼らがブルースの先達から受けた影響は大きく、オリジナル曲の「Shake It Babe」はBlues Breakers風、さらにPiazzaのボーカルは全編にわたりJunior Wellsの鼻にかかるような歌い方を意識しているようにも聴こえる。
 Campbellが去った翌年のコンサート・アルバム『Stone Dirt』はつきものが落ちたように実直なブルースを展開する。しかし本作における轟音セッションはCampbellというイレギュラーなブルース・マンがもたらしたある種の化学変化のようなものであり、この『Stone Dirt』における演奏が彼らの本来の姿だったともいえる。