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Freddie King ‎– Burglar (1974)

 Muddy Watersのバンドなどで腕を磨いたFreddie Kingは、元々はシカゴ系のギタリストだった。その後Leon Russellのシェルター・レーベルで名作を連発し、RSOに移籍した時の彼はすっかりファンクの色に染まりきっていた。イギリスの実力派バンドGonzales Horn Sectionの面々が参加した『Burglar』は米英両国を股にかけて録音された意欲作だが、製作のお膳立てをしたのはMike Vernonその人である。
 完璧なリード・トラックである「Pack It Up」は、Kingのギターの存在感と統率の執れたブラス隊のバック・アップ、そしてRoy Daviesのエレクトリック・ピアノとのバランスが素晴らしい。さらに見事なのは、イントロで印象的に響くBobby Tenchの粋なサイド・ギターである。
 絶好調のKingは「Texas Flyer」では緊張感のあるリズムを乗りこなしている。一曲の中で転調を繰り返す「Pulpwood」のようなファンキー・ブルースも入っている。しかし、本作を語るうえで外せないのは何をおいても「Sugar Sweet」だ。Tom Dowdがプロデュースし、Eric Clapton And His Bandのメンバーと繰り広げられるストレートなブルース・セッションは、本作のファンク趣向からは離れているかもしれないが、非常に重要な一曲であることは間違いない。
 『Burglar』はRSOレーベルのスタートとしては最高のアルバムだが、Kingは発表のわずか2年後である1976年に心不全でこの世を去った。B.B. Kingらと比較すれば活動期間は相対的に短いが、彼の影響は(特にロックにおいては)本作を含む70年代のアルバムによって不動のものとなっている。