Eric Burdon & Jimmy Witherspoon – Guilty! (1971)
イギリスのソウル・シーンに登場した当時のThe Animalsは、Ray Charlesを思わせる熱いオルガンやBo Diddleyのビートを忠実に刻みつけるギターの本格的なサウンドのおかげで今日まで聴き継がれてきたわけだが、最大の個性は何をおいてもEric Burdonのボーカルが持つ途方もないパワーだ。
1971年という時代になると、ロック世代の若手と大御所のブルースマンがむつまじくセッションする企画モノなど特段珍しくもなかった。だがこのアルバム『Guilty!』では、ジャズ・ブルース界の伝説的シンガーであるJimmy Witherspoonと、30歳そこそこの白人が1対1で火花を散らしているのだ。ここまで互角に渡り合っているのは本作くらいなものである。
内容はスタジオ録音とライブ音源の組み合わせからなる。James Taylorがブルース・ロック・シーンへあてこすりのように書いた「Steam Roller」、さらにファンク・チューンの「Laws Must Change」まで多彩だ。特に後者は当時Burdonと組んでいたバンドWarによるヘヴィな演奏が聴きものだ。
「Going Down Slow」はサンクエンティン刑務所の慰問ライブで録音された。本作で輝いているのはこうしたスローなブルース曲の数々で、シングル・カットされた「Soledad」は、暴動とアフリカ系囚人の死が物議をかもしたソルダッド刑務所を歌った社会派のナンバーだ。「Have Mercy Judge」のラストで聴けるWitherspoonとBurdonのシャウトの掛け合いもすさまじく、これだけでも本作を手に入れる価値がある。
『Guilty!』は一人の英国人がアメリカ音楽に身ひとつで挑戦した記録だが、黒人が抑圧された社会情勢やファンク・ミュージックの隆盛など、様々な要素をまとった一枚でもある。