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Sonic Youth – Hold That Tiger (1991)

 1991年に発売されたSonic Youthの『Hold That Tiger』は、名盤の誉れ高い『Sister』が発表された1987年当時のライブ音源である。なぜかPussy Galoreのメンバーが写っているちぐはぐなジャケットの写真や、〈グーフィン〉という人を喰った自主レーベル(ゲフィンをもじっているのは明らかだ)の名前。すでにメジャーレーベルとの付き合いに疲れ始めていたSonic Youthのメッセージが見て取れる。これは彼らなりのチクリとしたジョークだった。
 ともかく本作は、『Daydream Nation』によって音楽界のメインストリームに表出していく彼らのメジャー前夜の記録だ。そこには実験性とともにギターロックも信条とするUSパンクバンドとしてのSonic Youthの姿がある。
 Crimeのカバー「Hot Wire My Heart」以外の『Sister』の収録曲はすべて披露されている。「Schizophrenia」はJoy Divisionにも似たニューウェーブらしい乾いたサウンドだったが、ライブ特有のぼやけた録音によって退廃的な印象はより増している。「White Kross」のラストのドラムの激しさに至ってはハードコアの様相だ。
 特筆すべきは、アンコールで披露された4曲のRamonesカバーである。いずれもファースト・アルバム『Ramones』からの選曲であり、アレンジや小細工の一切ないストレートな演奏が非常に潔い。Thurston Mooreは冒頭のMCで〈This song is called "We're Sonic Youth and you're Steve Albini"... 1 2 3 4!!〉と高らかに宣言して、先達の偉大なるパンクバンドにメドレーを捧げた。