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Rotary Connection – Songs (1969)

 Rotary Connectionの4枚目となる本作は、同時代のロック・ナンバーを多く収録したカバー・アルバムとして知られている。しかし、彼らの個性である外連味に満ちたサイケ・サウンドが、ジューク・ボックス・ヒッツの大胆な再解釈にもってこいであったことは、DylanやStonesの曲を取り上げた第一作の『Rotary Connection』の中ですでに証明済だった。
 これは十中八九Marshall Chessの意向だろう。後にMinnie Ripertonと交流を深めるStevie Wonderの提供曲「This Town」以外は、原曲を忠実になぞっているナンバーはほとんどない。冒頭のヘヴィなサイケデリック・ファンクが、実はAretha Franklinの歌った「Respect」だと気づかない人もいるに違いない。また、シカゴ・ブルースの名曲「I've Got My Mojo Working」は、Muddy Watersの『Electric Mud』セッションの延長線上にある一曲である。エフェクトの効いた激しいギターがフィーチャーされているのも、アレンジャーであるCharles Stepneyが確信犯的に同作を意識したことがうかがえる。
 だがやはり本作で目を惹くのは有名ロック・チューンの数々で、The Bandによる「The Weight」が完膚なきまでにサイケデリックに塗り変えられているのはもちろん、Creamの歌が3曲も採用されているのも注目に値する。例えば「We're Going Wrong」などは、後に売れっ子になるRipertonの驚異的なハイトーン・ボイスと、ドロドロしたグルーブのコントラストによって無二の名演となった。当時Stonesの最新曲だった「The Salt Of The Earth」でも彼らのコーラスがいきいきとしているおかげで、数ある同曲のカバーの中でも白眉と言っても過言ではないゴスペル風ロックに仕上がっている。
 ジャケットにも表れているとおり、グループの持つ性別・人種混合のコンセプトはThe Family Stoneと同様だったが、このプログレッシブなソウル・サウンドはまさしく彼らのオリジナルである。