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The Animals – In The Beginning (1970)

 Sam Cookeの誉れ高き名ライブ『Live At The Harlem Square Club』は1963年に録音されながらも、彼の売り出し中のイメージと食い違っていたためにレコード会社がお蔵入りにしている。奇しくも同年に録音されたThe Animalsのライブも、ブリティッシュ・ブルースの歴史を証明する壮絶な演奏であったが、こちらも『In The Beginning』のタイトルで陽の目を見たのは70年代に入ってからのことだ。
 すべての始まりはSonny Boy WilliamsonとGiorgio Gomelskyだった。ヨーロッパのブルース・フェスティバルに出演していたWilliamsonは、長期滞在中にThe Yardbirdsとの共演を果たしているが、それから間もなくニューカッスルのクラブ「ア・ゴーゴー」にWilliamsonがやってきた際に、Gomelskyの発案で録音されたのが本作だった。もともとアルバムを作る予定で行われたライブではなかったのだが、レコードデビュー以前のThe Animalsが地元で暴れまわっていた様子が克明に記録されている。
 当時の時点で彼らはすでに「Bo Diddley」のジャングル・ビートをわがものとし、Hilton Valentineのギターが炸裂する「Dimples」ではJohn Lee Hookerのブギのリズムを吸収している。Alan Priceのオルガンによって独自のサウンドを完成させたその早熟さは驚異的だ。「Boom Boom」では、感極まったEric Burdonがその場にいたであろうWilliamsonをブルースの王様として讃えるワンシーンがある。
 ラストの「C Jam Blues」では意外なことにWilliamsonがドラムを披露している。本作では彼の出番は少ないが、本格的なバンドとの共演部分は1972年に『Faces & Places』のシリーズ内で発表された。