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医師のモラルが低下している?

令和6年6月27日に第1回美容医療の適切な実施に関する検討会が行われました。厚生労働省医政局の実施です。

厚生労働省HP
美容医療|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

さまざまなオンラインニュース媒体で紹介されていますから、皆さんも目にしたかもしれません。

そのニュースやコメントで「医師のモラルが低下している」と書かれていたことに対する雑感が今回のnoteです。

「モラルって低下するものなのか?(変わらないんじゃないか)」
「医療にモラルはいるのか?(標準治療を行い治療がうまくいけばいいのでは)」
「保険診療で稼げないから直接美容に行くという選択のどこが悪いのか?」
「自由診療で自費なので、弱肉強食でよいのでは?」

などと、サイコパス気味な私の疑問は尽きません。

しかし、医師のモラルが低下していると言いたくなる人の気持ちもわからなくはないです。

参考URL
http://t-t-c.net/clinic

それでは、さっそく始めます。

まず、日本人全体の話ですが、沈没する船に乗っているからか、自己肯定感が不足していて、SNSで称賛を求めるあまり、ルッキズムがエスカレートしています。

私の感覚では、加工された写真は自分ではないので、気味が悪いですが、今の子供たちにとっては加工写真が身近で、理想の容姿になった自分を疑似体験できます。そこから、「自分のまぶたや鼻を直したい」というような感情がわいてくるのでしょう。

ところで、スタバの容器を写真に撮っている若者を見かけることも多いですよね。スタバの容器が「自慢」であり、「娯楽」であり、記録したり、SNSに投稿する対象だということです。これって貧しいですよね。数百円のコーヒーが贅沢であるということが、この国の貧しさを表していると思います。貧しいから、コーヒーをSNSで投稿するのです。あまりお金がかかりませんからね。

もともとは、芸術、課外活動、旅行、フィットネスなどが、人間の娯楽でした。しかし、いまは、そういったことをする時間やお金が工面できず(ディズニーランドに行く金がないというニュースもありました)、ネットゲーム、スマホの漫画アプリ、SNSとなんでもオンラインです。自己負担が少なくて、隙間時間でできるし、中毒性があるから当然ですね。

一方で、医師のほうは、医師数が増え、時間外労働が減らされ(良い悪いありますが)、保険点数が減り、治療対象となる人口も減り、円の価値も減り…と悪いことだらけです。収入が減っているし、これからも減っていくことが確実です。

医師といえば、米国をはじめ、それなりに多くの国で、高所得の象徴です。だから、優秀な人材が集まりますし、みんなが憧れるから高い社会的地位を保っていました。豪邸に住んで、高級車に乗って…などと豪華絢爛な生活を夢見て勉強を頑張った受験生も多いです。しかし、今の日本ではかつてのような甘い蜜は吸えません。

結局は、「収入の最大化」を目指すのが高学歴の宿命です。心理的にはいろいろあります。高い目標を達成する自分に陶酔しているとか、何かを成し遂げないと自分には価値がないと思っているとか、自己愛の問題があるのでしょう。とにかく、高学歴は、「収入の最大化」を目指しがちです。

昔は単純でした。
王道として、国家公務員試験一種、医師、弁護士、公認会計士などを目指す。
裏技的に、国会議員。
他は、リスクをおかして起業。

しかし、日本が落ち目なので、国家公務員はパッとしませんし、弁護士はすでに凋落。医師も怪しい。今後は、英語を勉強してグローバルに活躍していくしかないので、そういう分野に優秀な人材が流れるでしょう。今では、超進学校の進学先に、海外大学が多くなってきています。東大はただの日本の首都の大学に過ぎないのでしょう。

話を戻します。

一番の気になる点は、若手医師です。
まさか、こんなに医師の収入が雲行き怪しいと思っていなかったでしょう。
入学するときはわからなかったけど、初期研修していて、指導医がひもじい生活をしている。SNSでは医者は減収になると書かれている。だんだん、自分も焦ってくる。当然です。そこで、儲かるのがどこかというと、自由診療。

繰り返しになりますが、さまざまな要因から「美」を求める人が増えました。
社会保障費をもらうビジネスモデルである保険診療
ではなくて、
富裕層の預金をねらう自由診療
がよいのは当然です。
株高・インフレ等で、富裕層の資産は爆増していますからね。

ということで、まとめると、日本の不景気、SNSの躍進、自己肯定感の低下、ルッキズムという社会の流れと、保険診療での減収から医師が美容に流れる現象がうまくマッチして、今の日本の美容医療が勃興しているのです。

医師のモラルがどうこうというより、保険診療での減収が主たる要因だと思います。ただ、この問題は根深く、日本に輸出できるような技術や産業が乏しいことや、少子高齢化も密接に関わっています。

じゃあどうすればいいのかというと、「国力」を上げるということに尽きる。
金があれば、医者が保険診療に居ついてくれる。
金があれば、醜形恐怖症やそれに類する病態の方が減り、過剰な美容医療に対する需要も鎮静化するかも知れません。
ちょっと単純化しすぎかもしれませんが、あながち間違いではないと思います。

いやしかし、今の初期研修医の人は資産形成するという点では超大変だと思います。
極貧生活をして、すべての貯金をVTIに突っ込んでおくのを推奨します(自己責任で)。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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