ロードレース短編集「サヴァイヴ」
自転車ロードレースを舞台にしたミステリー「サクリファイス」に登場するプロ選手達が見ている世界.チーム競技でありながらも,注目され,記録に残るのは勝利したエースのみ.その他の選手はエースを勝たせるための捨て駒に徹する.そんなアシストたちの視点から描かれている短編集だ.
近藤史恵,「サヴァイヴ」,新潮文庫,2014
高速走行する自転車レースに事故はつきもので,いつ選手生命が絶たれるかもしれないという恐怖に向き合いながら走り続けるプロ選手.エースの座から引き摺り下ろされるかもしれない.いつまで活躍できるかわからない.そんな恐怖がドーピングへと誘惑もする.チームが一枚岩とも限らない.それでも,世界で戦うことを夢見て走る.
「エデン」は「サクリファイス」の続編だが,「サヴァイヴ」はそうではない.「サクリファイス」を読んでから「サヴァイヴ」を読むと,そんな背景があったのかと思わされる.
でも結構悲痛かも...
© 2021 Manabu KANO.
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