マガジンのカバー画像

本の紹介・読書の記録

153
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」でマニアックな絵画鑑賞法を学ぶ

東京藝術大学の講義「西洋美術史概説Ⅲ」の教科書.藝大准教授の著者が「偏った作品選択」をしていると明言している通り,ラファエッロ,レオナルド,デューラー,カラバッジョといった有名人が取り上げられている一方,印象派は完全に無視され,私には馴染みのない北欧美術が取り上げられている.やや読みにくさがあるものの,美術作品の新たな見方を学べた. いつものように図書館で借りて読んだのだが,ベストセラーだけあって,なかなか順番が来なかった.待っている間に,NHKで2回にわたって本書「東京藝

「ローマ帝国衰亡史」が実に面白い

歴史から学ぶべきことは多い.しかし,面白くも何ともない歴史書を読むのは苦痛である.その点,歴史家エドワード・ギボンによる「ローマ帝国衰亡史」は,1776年に発売された古典でありながら,ウィンストン・チャーチル,ジャワハルラル・ネルー,アダム・スミスなどを魅了してきたと言われるだけだって,実に面白い. 本書の「はしがき」には次のように書かれている. その通りなのだが,既に手遅れになった感がある.もはや日本は先進国ではなく,発展終了国と成り果てた.凋落先進国と言えるかもしれな