坂バカ志賀直哉の「自転車」衝動買いが桁違い
「小説の神様」と称される志賀直哉は,69歳のときに書いた「自転車」という作品(昭和26年11月)の中で,自転車狂だったティーンエイジャーの頃を振り返っている.
私は十三の時から五六年の間,ほとんど自転車気違いといってもいいほどによく自転車を乗廻していた.学校の往復は素より,友達を訪ねるにも,買物に行くにも,いつも自転車に乗って行かない事はなかった.
当時は日本製の自転車はなく,ほとんどが米国からの輸入品であった.英国製の自転車(米国製よりも高価)も少ないながらあったらしい