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本の紹介・読書の記録

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2021年7月の記事一覧

現代に生きる「二宮翁夜話」で尊徳の教えを味わう

「二宮翁夜話」とは,二宮尊徳の門人であった福住正兄が,尊徳のそばで暮らした4年間に書き留めた「如是我聞録」をもとに,尊徳の言行をまとめた書である.正編には233話,続編には48話が収められている.二宮尊徳の報徳思想の全容が平易に伝えられた書として知られている. 本書はその「二宮翁夜話」から40話を抜粋し,二宮尊徳の子孫でもある著者が感想や解説を加えた読み物である. 現代に生きる「二宮翁夜話」 中桐万里子,致知出版社,2014 著者は「二宮翁夜話」を次のように評している.

「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

頭脳明晰な赤ずきんちゃん.赤頭巾を被った名探偵コナンかよ.殺人事件に出会いすぎ... 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 青柳碧人,双葉社,2020/8/19 「ガラスの靴の共犯者」はシンデレラ,「甘い密室の崩壊」はヘンゼルとグレーテル,「眠れる森の秘密たち」は眠れる森の美女,「少女よ、野望のマッチを灯せ」はマッチ売りの少女が元ネタになっている.まあ,そういうことなのだが,とにかく,ディズニー系お姫様のイメージを壊し過ぎだ. © 2021 Manabu KANO.

「史上最強の哲学入門」で東洋思想を学ぶ

西洋哲学と比較して,東洋哲学の特徴は何か.それは理屈ではなく,自分自身の体験として知ること(悟りの境地に達すること) にある.このため,西洋哲学はその理屈を文字を使って説明すればよい.そうすることで他人に哲学を伝えることができる.一方,東洋哲学はいくら説明しても伝えられない.説明が理解できても,それと悟ることはまったく別物である. 史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち 飲茶,河出書房新社,2016 脳の物理的化学的な仕組みを解明しても意識現象を説明できるようにはならない.こ

立花隆は「臨死体験」をどう解釈したか

人間,死んだらどうなるのか? この問いに関心のある人は多いだろう.今はなくても,人生のどこかで強烈に関心を持った経験がある人は多いだろう.納得できる答えを見付けられた人もいれば,そうでない人もいるだろう.私自身は結局よくわからないままで今に至っている.初詣に神社に行って,ときどき墓参して,仏壇の前で手を合わせて,クリスマスツリーを飾ってという,いかにも日本人的なスタイルで生活している. 臨死体験をもって,死後の世界を垣間見たという人たちがいる.死後の世界の存在を信じない人