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医師にクリエイティビティって必要?

お腹がグルグル。ふと牛丼の香りが脳裏によぎりました。よし牛丼食べよう。

そんなあなたは吉野家の店舗に向かいます。すると道のかたわらにそば屋のメニューが目に入ります。
『元三つ星フレンチシェフの俺のスペシャル牛丼 1100円』
さてあなたはこちらに入りますか?それとも吉野家に行きますか?

こんな思考実験を思いついたのはこのネトフリシリーズを観たから。

Netflixシリーズ
『スキン・ディシジョン』
美容ナースと形成外科医が施術と手術をクライアントに提供するドキュメンタリー
https://www.netflix.com/jp/title/81038987?s=i&trkid=14170286&vlang=ja&clip=81220279

「外傷のトラウマを克服したい」といった背景が描かれるもののストーリーとしてはありきたり。マーケティング臭がプンプンするのも否めない。

映像はリアル。やっている内容も標準。そして結果もそこそこgood(80点)。美容皮膚科医や形成外科医が見たら退屈だと一蹴する内容。(実際はエピソード1しか見ていませんけど。)

でもこの番組に脳天からゴーンとパンチを貰ったのです。

クリエイティビティがソコにありません。最新とは言いつつも標準治療を施すのみ。瘢痕を解除してたるんだ皮膚を切除して。。ステロイド注射して。

「私が開発したオンリーワン手術」「誰も真似できないスーパー手術」なんてものは微塵もない。

あれ?十分じゃないかこれで。んんん?むしろ標準治療をより安全に提供できることのほうがプレミアムではないのか?

外科医たるもの新しい術式を生み出すべきという謎のドグマにハマっているのではないか?クリエイティブであれという謎の哲学に拘泥してはいまいか?

疑問が湧き上がるとともに混乱する私。実際「俺の術式!」は十中八九は数年後にはそっと消えてますからね。

もちろん研究の道はあるべき。スーパー外科医のようなカリスマの存在も大いに結構。クリエイティブにデザインする姿勢は大事。

でもね。医療を受ける側の気持ちは?確実に標準デザインを提供される安心感も欲しいのでは?「俺の〜〜」は求めていないのでは?

だからクリエイティブ外科医はほんの一部でいいんです。多くの医師はクリエイティブである必要はなく、今ある技術を動員して粛々と安定した医療を提供することが望まれているのではとね。

自分の仕事に対する意識に大きな衝撃を食らったエピソード1でありました。

まだまだ青い私です。

で、結局のところは吉野家の牛丼を手に取っている私です。だってそうでしょう。『俺の~~』が口に合わないリスクを取りたくないですからね。

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