ビフォーアフター写真の見方
金沢はどんな視点で見ているか、みっつほど見方をお伝えします。これを理解すると美容クリニック選びを失敗するリスクを減らせます。きっと。
(1)ビフォー・アフターの写真は医師の技術力を反映したものではない
これは声を大にして言いたい。(私の写真もそうよ)
例え話をします。東大合格体験記がひとり掲載されています。
たった一人の合格結果を見て塾の実力を評価しますか?しませんよね。その塾生自体のポテンシャルがすごく高かっただけかもしれないです。
全塾生の結果を提示して初めて塾そのものの実力がわかるはず。
だからね。ほんの数例のビフォーアフター(before-after)の写真で実力を評価できないんですよ。たまたまです。現実は患者さん本人のポテンシャルです。(だいたい若い人)
チャンピオン症例という表現があります。偶然うまく行ったモニターケースのこと。数やってれば結果的に100点満点症例に出くわすのです。それをモデルケースとして使い続けるんですね。
どんな教育法でも東大合格するやつは合格するんです。
じゃあ実力をどう測れるのでしょうか?
蘇春堂の野平先生がかつて学会で提案されたのを思い出します。
学会発表で「ある日を起点にして特定の手術の連続10症例分提示せよ」と。例えば5月1日を起点に1か月の間に20症例の眼瞼下垂手術をしたら、月前半に行った10症例分を全部出せということ。うまくいったのだけ選び出すなということです。
綺麗なケースを一例出されていても、それって打率1割の医師が放った一本のヒットかもしれないでしょ。9割は三振か内野ゴロなわけ。
となるとホームページでは医師の実力は確認できないというのが結論です。残念ながら。まずは映え写真に惑わされないことであなたは正しい医院選びに一歩近づきます。
ただし医師の好みなどは反映されています。こういう点は参考になります。
(2)写真映えするのは若い人。そして手術がうまくいきやすいのも若い人
若い人は皮膚がしなやか。肌に張りもあって骨格にフィットする(スウェット生地のようなもの)。
年配者の皮膚はごわついてる。皮膚の緊張がなく、骨格にフィットしない(湿ったダンボール)。
中身が詰まった新しいぬいぐるみと20年前に買ったヘタったぬいぐるみを想像してください。加えて新しいぬいぐるみは生地が"ストレッチ素材"と想像してください。どんな縫い方しても輪郭がフィットし、張りのある滑らかな仕上がりになるのが想像できますよね。
医師の実力を測るのはここにチャンスがあります。年配のモデルです。若いモデルは初心者医師でもうまくいっちゃうことがあるから。
じつは私、ビフォーアフター写真はここを見ています。これで実力が分かるんです。
そしてね。(先程出てきた)野平先生は学会で50代以上のモデルケースをよく出すんですよ。本当の実力者だなと思います。ため息つきます。
当然ですが、自分の年齢に相応のモニターモデルを探すこと。
ところでここの話は輪郭(かたち)の話です。縫合線自体は70歳以上になると傷が綺麗に治るようになります。
(3)ビフォー(術前)とアフター(術後)で撮影条件が揃っていること
医師としての資質をここで判断できます。
メークの有無
カラーコンタクトレンズの有無
だけでなく
照明の当たり方
撮影距離
を揃えること。
見抜きにくいのが撮影距離。アフター(術後)で近寄って撮影すると目鼻立ちにメリハリがついて映えます(特に目が大きく)。見抜くポイントは耳の見え方。耳が広く見えるのは遠距離、耳が小さく倒れて見えるのが近距離。こめかみの余白の見え方も違うのがわかります。
だから「目をパッチリにしたよ」という写真を作りたかったら、ビフォー(術前)は遠距離撮影で目を小さく、アフターは近距離撮影で目を大きく捉えます。おっと、もちろんこれは詐欺写真でございますよ。でも実際は下の写真のように明らかに分かるようにはしません。すこ〜〜し撮影距離をかえるんです。
(ちなみに鼻手術のビフォーアフターは逆。小鼻に見せたいケースが多いのでアフターは遠距離から撮影されます。)
この点をしっかり観察することで医師やクリニックの意識の高さ、あるいはうっかり詐欺っちゃう気質を持つかどうかがわかるのです。
実は技術以上に大事なのが担当医(医院)のこのマインドだって気づきます。条件が揃っていない写真を悪びれること無く提示し、そしてそれに後ろめたさを感じないふてぶてしい鋼の心臓をもつ医師(あるいはクリニック)の存在。
とてもマネできないので正直すごいなと思います。私なぞは光の当たり方が違うだけでビビってNGだしますからね。あっぱれ。
そのようなマインドの持ち主と信頼関係を築くことができるかどうか、ほんのちょっぴり考えてみてくださいませ。その方がはるかに運命を左右します。
結論
医師の技術力をビフォー・アフター写真から見抜くことは難しいです(私にも難しい)。しかしながら提示の仕方をみることにより、医師の哲学、思い、コンセプトを見抜くことは可能です。頑張ってください!
参考
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