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遠距離現在(国立新美術館)。そんな側面もあるよねって自覚的であること

現代社会が持つ病理を取り上げてる。

社会主義だ資本主義だのを超えた次元の「何か」が僕らの精神を色濃く蝕む。なんだろう。なんだかよく見えないもの…

インターネット、SNSが世界に染み渡り、わたしたちの思考、行動、政治が濃密に支配されている。…ような気がするでしょ。

少なくともそれに対して自覚的であるかどうかで人生の価値は大きく異なるんじゃないかと結論として思った私。

複数のアーティストによる展示。それぞれ全く異なる視点から現代を見つめる。9人いたら九次元の視点からの解釈だ。

ひとりだけ紹介。

デンマークの写真家ティナ・エングホフの作品。孤独死した人の部屋の写真が列挙されている。体液が染み付いているソファーの写真。身体が横たわっていたであろうカーペットが切り抜かれている写真。福祉社会がもたらしたもの。行政が自立を促す一方、他者に依存する機会を失って孤独化する高齢者。彼女は福祉国家の暴力的構造と表現する。

何たる皮肉。「人のために行われる正しさ」が人を苦しめているかもしれないなんて。理論的な正しさと現実とのギャップが存在すること。そこに自覚的であろうよって話。

インターネットやSNSであらゆる情報がフラットに平等に届くようになった一方、人々はこの世界に身をどっぷり埋めてしまい、支配されていることに無自覚である。いや、支配っていうと特定の個人によるものって思うでしょ?…違うの…。そういう「構造」が主体だって話。

それを気づかせる展示であった。

おりしも「パンデミック」がこの現象を暴き出すきっかけになったというところに共感する。「正義」の怖さをまざまざと知らしめたパンデミックだったもんね。「命」の大義名分のために監視、隔離、行いの制御が無条件に受け入れられた。

いや、私は全否定したいんじゃない。こういう側面があるっていうことに自覚的であろうよって話なんです。

ポストコロナ時代にむけて「今日」とどう向き合っていくべきかみんなと一緒に考えていきたいなあ。

動画作品も含まれるので通してみるのに2時間以上の時間があるといいかもね。


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