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頭痛持ちが考えたい脂質の知識

こんにちは、ひふみです。
最近、ダイエットやアンチエイジングのために脂質の摂取を控えている人や脂質の種類にこだわる人が増えてきましたね。
脂質の摂取を考えることが頭痛を改善する上でも重要であるということが、最近の研究でわかってきています。
頭痛や体調の観点から、脂質の基礎を改めてまとめてみます


脂質の摂取量と頭痛の関係

基本的に低脂肪食が頭痛を減らすことがわかっている。

頭痛を改善するために、脂質は積極的に摂った方が良いでしょうか?
それとも制限すべきでしょうか?
基本的には低脂肪食にする方が頭痛を減らしそうです。

大山研究という2004年に鳥取の大山の住民5758人を対象にした大規模な頭痛の調査では、頭痛持ちの人は頭痛がない人に比べて脂肪食を好む傾向があることがわかっています。
2015年にイタリアから報告された無作為試験によると、脂質を食事全体の20%以下に抑えた低脂肪食を実践したところ、20%以上の普通食に比べて、片頭痛の頻度も重症度も抑える結果となりました。

一方でケトジェニック食は脂質は多いが頭痛は減らす。

基本的には低脂肪食の方が頭痛には良さそうではあるのですが、異なった結果が出ている研究もあります。
最近、ケトジェニックダイエットというトレンドがあり、減量の方法としても知られています。
糖質を極めて抑える食事法なのですが、代わりに脂質は20%以上のかなりの割合で摂取することになります。
実はこのケトジェニックダイエットは脂質をかなり摂取するのにも関わらず頭痛の頻度を減らす可能性が報告されています。

以上を踏まえ、単に摂取した脂質が頭痛を引き起こしているというわけではなく、高脂質食に起因する肥満や体内での炎症が頭痛を悪くしているのではないかと考えられます。
ケトジェニック食も脂質は割合として多いですが、糖質の摂取減により炎症が抑えられているから頭痛は減るのだと推定されます。

基本的には脂質は抑えめが良さそうですが、脂質そのものというより、
その先にある体内の炎症をどうコントロールするかが食事摂取のポイントになるということですね。

脂質の種類が頭痛に影響するか?

次に脂質の種類に注目した研究があります。脂肪酸の話です。

前提として飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は控える!

飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸を積極的に摂取しましょう。
それぞれの説明は割愛しますが、簡単にいうと飽和脂肪酸の多い動物の脂身の摂取はほどほどにして、植物性であったり魚の脂肪を積極的に摂りましょうということです。
また、不飽和脂肪酸の中でも「トランス脂肪酸」という脂(マーガリンなど)は避けることが望ましいです。
これは、直接その摂取の増加によって頭痛を増悪させる強い根拠があるわけではありませんが、悪玉コレステロールの増加や心血管障害のリスクが明確であり、摂取しないことが望ましいです。
身体の酸化ストレスが頭痛を引き起こす観点でも、少なくとも頭痛対策にメリットのあることはないと思いますので、摂取を控えてください。

不飽和脂肪酸ではオメガ3を多めに摂取する意識が大事そう。

不飽和脂肪酸の摂取が良さそうとわかりました。
不飽和脂肪酸といってもさらに種類があり、オメガ3・6・9に分かれます。
オメガ3はαリノレン酸(アマニ油・エゴマ油)やDHA/EPA(魚油)、
オメガ6はリノール酸(サラダ油、ごま油)、
オメガ9はオレイン酸(オリーブオイル)

といった種類があります。
では、頭痛予防の観点ではどの油の摂取が望ましいでしょうか?

オメガ9の摂取量に関しては良さそうな根拠を見つけられませんでした。
ただ、オメガ3と6の摂取と頭痛の関係について2021年にアメリカから発表された興味深い比較試験があります。
結論をいうと、EPA/DHAを1日1.5g摂取しかつオメガ6の摂取を控えたグループは有意に頭痛の日数・重症度・持続時間が減少したというものです。
オメガ6を控えるというのは具体的に摂取エネルギーの1.8%以下という基準であり、これは僕たちの生活で厳密に計算するのは難しそうですが、、
少なくともDHA/EPAを摂取し、オメガ6を摂りすぎない意識は頭痛の減少に薬に立ちそうです。

サプリでもいいけど、できれば魚を食べる方がいいかも

厚労省によるとDHA/EPAは大体1日2gの摂取を推奨していますので、そこが目標ですね。
過去の頭痛の論文では、大体サバやアジなど魚からEPA/DHAの摂取をしており、現状サプリメントでの効果がどこまで頭痛予防が期待できるかは不透明です。
サプリでもEPA/DHAを摂取すれば、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪はしっかり減りますので、そういった意味ではサプリでも効果は期待できそうかなと個人的には思います。
可能な人は魚肉から、難しい人はサプリでいいので摂取してみてください。


オメガ3とオメガ6はどう頭痛に働くのか(余談)

ここからは余談になりますので興味のある方はどうぞ。

オメガ6脂肪酸は必須な栄養だが、身体を炎症に傾ける。

不飽和脂肪酸はどれもある程度の摂取は必要な大事な栄養素です。
ではなぜ頭痛の予防には、オメガ3を増やしオメガ6を減らすのが望ましいのでしょうか?
これにはいくつかの理由が考えられています。
1つは、オメガ6脂肪酸は炎症物質の原料となるからです。
実は取り込まれたオメガ6脂肪酸の一部は体内でアラキドン酸という物質に変化します。
アラキドン酸はいろんな代謝(アラキドン酸カスケード)を経て、
プロスタグランジンなどといった炎症物質に変化し、
これが私たちの痛みや炎症を引き起こします。
オメガ6脂肪酸は体を炎症に傾ける物質であり、
免疫として身体を守る際に非常に重要な働きなのですが、
炎症に傾きすぎると頭痛を引き起こしやすい体質になると考えられます。

オメガ3脂肪酸は抗炎症作用や痛みの抑制作用がある。

オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸と反対で身体の炎症を抑制することがわかっています。
悪玉コレステロールを減少させたり、心血管や認知機能の増悪を防いだりと抗炎症によるアンチエイジングの効果はその働きとして有名です。
また、炎症を抑えアレルギーの抑制にも効果があると言われます。
このようにオメガ3とオメガ6は拮抗しながら身体の炎症を調整しています。

頭痛持ちの方は、身体が炎症を起こしやすい状況であり、
オメガ3<<オメガ6に傾いている状況かと予想されるので、
オメガ3を積極的に摂取してオメガ6を摂りすぎないようにすることが抗炎症を促進し、頭痛を改善させるというわけです。

また、オメガ3は代謝されて17-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(17-HDHA)という物質になることが分かっています。
この17-HDHAは痛みの受容体を抑制する働きが考えられており、
頭痛の重症度を抑えてくれることも期待できるわけです。

まとめ

一般に低脂質食を心がけましょう!
トランス脂肪酸や飽和脂肪酸は避けましょう!
脂質の中でも不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸を1日2g以上摂取。
オメガ6は摂りすぎないように。

"抗炎症"というのが最近の頭痛のキーワードになってきていますね!
食事と頭痛の話はまたこれからもしていく予定です。







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