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コーヒーは頭痛の敵?味方?

コーヒーを飲むことで頭がスッキリして頭痛が良くなったと感じる方がいます。
一方でコーヒーをやめると頭痛が良くなる人もいます。
ネットでも頭痛におけるコーヒーの効果について、良し悪しはサイトごとに違った意見を見かけます。
個人的には、
「基本的にはコーヒーの摂取はおすすめだけど、一部合わない人もいるので注意してほしい」
と考えています。
今回はコーヒーやカフェインと頭痛との関係に注目します。


頭痛にコーヒーがおすすめな理由

カフェインには鎮痛作用がある。

カフェインは体内でアデノシン受容体に結合し、アデノシンの働きを邪魔することが知られています。
アデノシンは痛みの伝達に関わる物質です。
また、脳血管の拡張作用があり、カフェインの摂取で脳圧が上がる可能性がマウスで示されています。
アデノシンを人体に注入することで片頭痛発作が誘発されることが知られています。
カフェインはこのアデノシンを邪魔することで、痛みの伝達や血管の拡張を抑え、頭痛を抑制すると言われています。
それ以外にもカフェインは摂取により胃内のpHを低下させ、また胃の運動を促し腸管の吸収効率を高めます。これにより同時に摂取した鎮痛薬の吸収を促し、作用を強めることがわかっています。

以上よりカフェインは他の鎮痛成分に混ぜる形で、頭痛薬に含まれることが多いです。
市販の頭痛薬の成分表示に注目してもらうと「無水カフェイン」が30〜50mg程度含まれていることがわかります。
実際に、アスピリンやアセトアミノフェンといった鎮痛成分にカフェインを加えることで鎮痛効果が増強することが多くの論文で示されています。
鎮痛に最もエビデンスのある摂取量は100~130mg/dayと言われます。
これは、コーヒー1.5~2杯分に相当します。

カフェインには気分を高揚させ、精神を安定させる。

コーヒーの覚醒効果は眠気を覚ますだけでなく、気分や集中力・幸福感を高める作用が知られています。
また、代謝や持久力も向上させる働きもあり、ヒトの活動性を高めます。
このような作用からカフェインの摂取はうつ病や自殺リスクの低減に関連すると言われています。
抑うつ状態は頭痛を慢性化させる大きな要因であり、カフェインの摂取により間接的ですが頭痛になりにくいメンタリティを手に入れられる可能性があります。

ポリフェノールが豊富に含まれる。

コーヒーにはカフェインでなく、クロロゲン酸というポリフェノールが多く含まれます。
ポリフェノールは抗酸化作用・抗炎症作用を有することが知られており、ポリフェノールの摂取が頭痛の頻度や重症度を低下させることは近年の研究で明らかになっています。


このようにカフェインは直接的な鎮痛作用だけでなく、頭痛の原因となる身体的・精神的ストレスに対抗する成分を多く含むことがわかります。

また余談ですが、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸は頭痛予防だけでなく、他にも色んな良い働きがあります。
適度なコーヒーの摂取は、心血管疾患や2型糖尿病、肝臓がんのリスク低減効果に加え、アルツハイマー病やパーキンソン病の予防効果などたくさんのメリットがあります。

頭痛にコーヒーをおすすめしない場合

カフェイン離脱頭痛がある。

カフェインを習慣的に摂取している人が、夜間や週末に頭痛が強くなることがあったりします。
これは平日の朝にコーヒーを飲む習慣があり、カフェインの効果が切れるタイミングで頭痛が出てきていることが推測されます。
おそらくはカフェインが切れたタイミングで相対的にアデノシンの働きが高まるためと考えます。
このような頭痛はカフェイン離脱頭痛と呼ばれます。
カフェイン200mg/day(コーヒー2.5~3杯程度)を毎日摂取している方が、急に摂取をやめると頭痛を発症し、100mg程度の摂取で改善することが診断の根拠となります。
ただし、カフェインを300~400mg摂取しても何の影響もない人がいる一方で、たった100mgで離脱頭痛を発症する人はいます。
遺伝や環境・これまでの習慣によりカフェインの代謝能力に大きな個人差があることに注意が必要です。

中毒症状や神経過敏を引き起こす可能性がある。

コーヒーやエナジードリンクの飲み過ぎで頭痛やめまいを経験したことのある人は多いのではないでしょうか。
カフェインは摂取しすぎると逆に頭痛を引き起こしてしまいます。
またカフェインの多量摂取で神経が過敏となるという報告もあり、頭痛を引き起こしやすい体質になる可能性もあります。
慢性頭痛の方は神経の過敏性が慢性化の一因となっている可能性があり、カフェインの摂取をやめることで頭痛が改善するケースが結構あります。
どの程度の摂取で症状が出るかはやはり個人差があるとしか言えません。

まとめ

以上をまとめます。
基本的にはコーヒーはそのカフェインやポリフェノールの作用により、頭痛を抑制する作用が期待できます。

アメリカの片頭痛協会という組織によると、

カフェインが頭痛または片頭痛の役に立つかどうかは、頭痛がどのくらいの頻度で起きるかによる。
月14日以下の頭痛頻度なら1日200mg以下に抑えれば、カフェインは助けになる可能性がある。
それ以上摂取すると、頭痛または片頭痛の頻度が上がるかもしれない。
慢性頭痛患者はカフェインを完全に断つべき。

American migraine foundationより改変

と述べられています。
200mgというのは1つの目安に過ぎませんが、
適度な摂取であれば、頭痛軽減のメリットが大きそうです。

一方で神経の過敏性が問題となる慢性頭痛患者さんは、逆に頭痛を増悪させる可能性があり摂取を控える方が良さそうです。
繰り返しですがカフェインの代謝能力には大きな個人差があり、離脱や中毒症状が出やすい人は一定数いますので注意してください。

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