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02 地域を知る(新宿編)

 地域食支援という地域。まずは自らの地域を知らなければならない。タイプが似た街はあっても、全く同じ街ということはありえない。その土地の地理や歴史、人口や人柄、そして各種サービスの状況なども考慮しなければならない。
 食支援とは別件だが、コロナが日本で広まった時期、「家族がコロナに発症したからその町には住めなくて一家で引っ越しをした」という話を聞いた。同じ日本でもそういう事があるのかと驚いた記憶がある。まさに地域差だ。

 そこで私が住んでいて、活動もしている東京都新宿区についても考えてみた。人口は35万人弱。高齢化率は19.2%。ただ、新宿駅の乗降客が1日360万人と世界一(ギネス認定)。もちろん全員が新宿在勤ではないが、昼間人口は住民の倍以上になる。
 そして2つの特徴がある。一人暮らし世帯の割合が多く、日本全国の市区町村の中でもトップクラス。老いも若きも一人暮らしが多い。そしてもう1つは、外国人の人数。約4万人とこちらも全国トップクラス。欧米、中国、韓国はもちろんベトナムやミャンマーなど東南アジア系の方が多い。実は高齢化率が19.2%というのは少し事情がある。若い外国人が多いので高齢化率が下がっている。日本人だけの統計だと22%位になると推測される。

 東京都新宿区といえば高層ビルがあり、歌舞伎町があり、詳しい方は知る神楽坂、昔の十二社(じゅうにそう)のような花街もある。住宅街などまったくないイメージを持たれることも多いが、実は古くからの住宅街。高層ビルは広い浄水場がなくなった跡地があったからできたもの。西新宿(都庁付近)の道が上部と下部の二重構造なのは側道だったところと池の底だったところを利用したためだ。義父が生前、「新宿はド田舎だった」と言っていたことを思い出す。

 これは新宿独自の特徴ではないが、都会で新しいアパートやマンションが建つとセキュリティ重視の「オートロックマンション」が増える。マンションやアパートに引っ越しをすると近隣に挨拶するものだが、オートロックの住居に住むとそれも嫌がられる。わが家もオートロックマンションで、引っ越して住民に挨拶に行ったが、ほとんどドアも開けてもらえず、数件で断念したことがある。これは都会のコミュニティの大問題で、隣に醤油を借りに行くなどというのは夢物語だ(ま、醤油は借りないが)。わが家は小さなマンションで、25世帯くらいあるが、よく知っているのは2人くらい。こういうマンションには町内会のお誘いも来ないので、交わる機会はどこにもない。

大久保方面から見る西新宿

 さて、在宅での食支援を考えるときに、在宅サービスのサイズを考える必要がある。そこでざっくり、在宅医療、訪問介護のサイズ感を見てみる。ざっくりな数字であるが以下のデータがあった

新宿の在宅サービス

 在宅療養支援診療所が49の中で、数人でやっているところもあれば、非常勤も入れて数十人体制でやっているところもある。在宅主治医は数百人単位と推測される。訪問看護ステーションの法的最少人数が2.5人なので最少人数で見積もっても160名。おそらく200~300人体制だろう。居宅介護支援事業所は1人のところもあるし、6人以上のところもある。おそらく訪問看護師と同レベルの人数がいるだろう。ホームヘルパーは…常勤だけでなくパートなどを含めると1000人単位。外国人のヘルパーも少なくない。

 新宿は人数が多いという話ではない。世田谷や練馬など新宿の2倍、3倍の人口だともっと大規模になる。逆に、地方都市で全人口が数千人という街もあるだろう。
 その地域で何をするのか。それを考えるとき、その地域を客観的に知ることだ。

#地域食支援 #新宿区 #在宅ケア #オートロック

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