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言う勿れと言う勿れ。

2022/05/06

写真は、田中ハルさん撮影です。

田村由美さんの『ミステリと言う勿れ』に出てくるライカが大好きです。好きすぎて、ライカ役の門脇麦さんの茶色い髪になりたくて、私は茶色いロングヘアのカツラをドラマを見たあとすぐに、Amazonで買ってしまいました。抗がん剤のおかげでカツラをかぶることが私にとっての日常、抵抗を感じることがまったくなくなったことが、私にとってとても良かったことです。その私のライカかつらをかぶった様子が、こちら。

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この写真は、私の自撮りです。どや顔ですが、鼻の下が荒れてますね。脂肪肝のせいなんですって。子宮がんの治療終了、経過観察になっても、脂肪肝の治療と健康的なダイエットは毎日続いています。お医者さんによるとこの肌荒れは脂肪肝が治らないと、つまり痩せないとどうにもならないらしい。むむむむむ。

さてさて。

先のブログの、『サバイバー』の定義のお話の続きです。森田ゆり(2021)『トラウマと共に生きる 性暴力サバイバーと夫たち+回復の最前線』築地書館の定義を読んで、こんなふうにサバイバーさんたちと向き合って、お話ができればしたい。できたならば、とても素敵だなぁと私は思っています。

サバイバーたちは、被害のトラウマを克服するというよりは、むしろトラウマと共に生きてきた過去を慈しみ、現在、未来もトラウマとつきあいながら生きていくという新しいサバイバーの視点を語っています。トラウマは苦しみであったけれど、新しいいのちの源でもあるのです。p.6

「トラウマは苦しみ」とここに書かれていますが、この森田さんの本のサバイバーさんたちのお話は実に惨烈です。p.138からのサンザシさんのお話では、申し訳ないくらいに、読みながら何度も本を閉じました。「よりましな悪」の選択など、真っ直ぐに読めるものですか。立腹、嫌悪どころじゃない、この本を読んで抱いた感情を表す言葉を、私はまったく知りません。

しかし、「性暴力サバイバーたちは、それぞれの恐怖や苦悩体験を語ることで、性暴力のしじまをやぶり(p.2)」、その「過去の苦しみは自分なりの表現手段を得たとき、その人の生きる力の揺るがない核心に(p.3)」なると森田さんは書いています。

苦しみを表現して、伝える。それができた人たちの生きる力の核心になっている。その場から踏み出している人たちが放っている光、輝きに圧倒されて、この森田さんの本を読めて、私は本当に良かったなぁと強く思うのです。

私は心身に多くの傷を負ったけれど、その「傷と共存」できるようになったというのが、「しっくり」きています。過去は変えられないけれど、もう自分は「その場」にはいない。p.62

森田さんの本が凄いと私が思うのは、サバイバーへの絶対的な信頼です。「進む方向を見出す資源はサバイバーの内に」あり、「歩き続ける力はサバイバーの内にあるのであって、セラピストはそのことを忘れないように思い出させ続けるだけです(p.226)」と、決して「だけ」だけではありえないセラピストの尽力より、サバイバーさんの尊重を最大限にしていらっしゃる。

「私たちには回復する力がある」とサバイバーさんたちが信じている。そのことが本当に凄い!

私は思うのです。

ご縁ができて、サバイバーさんたちが「笑顔」を表現するならば、私も笑顔で拍手を送りたい。

それがカメラの前であるならば、カメラの前で「表現」しようとした勇気を讃えたい、と。

そして、たずねてみたいのです。その人の「表現」の源にある思いを。「何が、カメラの前に立とうという思いを支えたのか」を。

森田ゆりさんの本にこう書いてあります。

本当の意味で、被害者が生きやすくなるためには、手厚い支援を行うだけでなく、ちゃんと想いや声に耳を傾けること。そして、世の中にある、被害者に対する間違った偏見や誤解を変えていくことが、大切なのだと思う。p.132

傾聴し、伝達するその目的は、こう説明されていると私は読んでいます。

性暴力被害は、その被害だけで終わらないこと。被害後の生きづらさが長く続くこと、小さな頃から年齢に合った性教育を受ける必要性、何でも話せる家庭環境の大切さを知ってほしいと願うからです。p.58

“サバイバー”について、語りたいと思う私にとって、森田さんのこの本は財産、宝です。さらに考え続けていくために、もっともっと勉強したいと私は思うのでありました。



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