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少年時代の音楽

 私が子供の頃と言うと、1970年代後半~1980年代にかけては、「音楽を聴く」ことは今に比べると、ずっと贅沢なことだった。

 リビング(当時は洋間と呼んでいた)には半畳ほどもあるようなステレオセットがあり、アナログのレコード盤をカーテン付きの棚に並べている。そんな家も珍しく無かった。

 もっともステレオセットを使うのは「音楽を聴くぞ!」と気合を入れた時で、普段はラジカセから流れるラジオの曲や、そのラジオの番組から流れる音楽をカセットテープに録音して聴いていたものだった。

 そんな中だからもちろんCDなどあるはずもない。CDの普及は、おそらく小学校の高学年から中学校にかけてだったのだろう。

 なので、当時としては、音楽は高級なものか、ラジオやテレビの歌番組から無料で流れている安価なものかの2種類だった。

 また、当時の音楽事情も、非常にユニークなものだった。
 テレビでは、テレビ開局30周年(1983年)昭和60年および戦後40年(1985年)ということで、しきりに昔の流行歌特集などをしていた。

 ナツメロと呼ばれる音楽、そして大衆歌と呼ばれるほど耳馴染みのよい音楽に子供の私は引き付けられ、好んで聴いていた。

 なので初めて自分で買った(というか買ってもらった)音楽はカセットテープ「沢田研二ベスト」でA面、B面で20曲くらい入っていたものだ。
 今、手元には無いが「君をのせて」から「きめてやる今夜」まで入っていた覚えがあるので、やはり1983年位に発売されていたものだったのだろう。

 子供なのに、ナツメロなどを聞いていると、周りの大人が面白がって、昔のレコードなどをプレゼントしたりする。
 そんなレコードの中にさだまさしの「私花集(アンソロジィ)」があった。
 さだまさしの世界観は、ナツメロなどを好んで聴いていた、変に大人びた子供にとっては、あまりにも美しく繊細で衝撃的で、つまりは一瞬で引き込まれた。

 そんなわけで、1980年代~1990年代。
 世はテクノ~バンドブームあたりになるところだったのだが、私はさだまさしをはじめとした松山千春、中島みゆきなどのニューミュージックなるジャンルを聞きあさることになる。

 時代は、CDが普及し、大きなステレオセットでなく、ミニコンポが流行していた頃だ。
 私自身は中学生の時にミニコンポを買ってもらい、その時に初めて自分でCDを購入した。
 それが、さだまさしの「夢回帰線」(1987年)だった。後にシングルカットされる「風に立つライオン」が収められているアルバムだ。
 たしか、新潟市の古町にまだ「名曲堂」があり、そこで購入したのではなかっただろうか?

 もっともCDを買うことは少なかった。当時はレンタルCDがまだ全盛で、それをカセットテープにダビングするという作業をチマチマとしていたのだった。

 さて、1990年代には、この時代遅れのニューミュージック好きが、なぜか渋谷系なる音楽にはまり、外資系CDショップに入り浸る日が訪れるのだが、つまらない話なので割愛する。


 

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