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毒舌

 トリカブト、マチン(ストリキニーネ)、チョウセンアサガオなどの毒草、ハンミョウ、毒蛾、ムカデなどの毒虫をすりつぶし、粉にする。この粉にしたものを、さらに熱湯で煮出す。この毒のエキスとも言える液体を砂に混ぜ、毒砂をつくる。

 一方、この毒を中和する解毒用の薬液を、用意する。

 用意した毒砂を口に含む。口内粘膜から毒が浸透し激痛が伴う。

 すぐに砂、および毒を含んだ唾液を吐き出す。その後、解毒用の薬液にて口内を洗浄し、毒を中和する。

 毒を中和した後は、再び毒砂を口に含む。そしてまた薬液にて毒を洗浄する。この作業を、三日三晩の間、繰り返す。

これを成し遂げたものは、相手を一舐めしただけで、即死にいたらすことが出来るという。

 毒舌とは、元来はこのような苦行をともなう殺人拳であった。

 (民明書房刊『世界の怪拳・奇拳』より)

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