【怪異譚】ホテルでの夢
栃木県にあるホテルに勤務する原さん(仮名)から聞いた話だ。
原さんが勤務しているホテルは、観光地にあるが、老舗ではなく、わりと最近に出来たホテルだ。
そのホテルが出来る前も、更地だったという。
にも関わらず時折、お客さんに「このホテル、何かありました?」と聞かれることがあるという。
お客さんに話を聞くと、悪夢を見たのだが、その夢が、非常にリアルなのだという。
目を覚ますと、宿泊していたホテルの部屋では無く、誰かの書斎のようなところにいる。
ただ本棚には本では無く、いくつもの人形が置かれている。
よく怪談にあるようなフランス人形や市松人形などでは無く、昔ガチャであった怪獣消しゴムのような色とりどりのゴムの人形が並べられている。
人形の大きさは20センチくらいだ。
怪獣では無く、人型の人形が置かれている。
夢の中では記憶にはあるのだが、名前が思い出せない子供向け実写ドラマのキャラクターだったというが、目を覚ますと、そんなキャラクターは全く知らないものだったという。
夢の中でその子供向けドラマが何か思い出そうとしている内に、地震が来て、棚が崩れ、ゴム人形に埋もれる。
苦しいともがく中で目を覚ますと、泊まっていた部屋だったということだ。
一人ならまだしも、ほぼ同じような夢を見たという話をするお客さんが、年に数回来るという。
それぞれ、宿泊していた部屋の部屋番号は違うし、同じ部屋で寝ていた者は何も無い。
周辺に人形に関係あるところがあるわけでも無いし、スタッフの中にも思い当たるところはまるで無い。
もちろん、ホテルを建てる前にもお祓いの類などは済ませてある。
何よりもホテルそのものは評判がよく、事故の類はまるで無く、客数も、まるで問題がなかった。
スタッフの中では、多分、これは座敷童的な何かが夢でいたずらをしているのだろうということで、そのままにしていると言う。
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