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【ふしぎ旅】円周寺の貂
新潟県新潟市(旧亀田町)に伝わる話である
昔、円周寺に非常にいたずらものの貂(テン)が住み着いていた。
ある時、客僧が境内を散歩中、すももが良く実っていたので、一つ取って食った。
するとその夜、怪物が床板を叩いたり、戸障子をゆすったりして、客僧を驚かした。
翌朝、住職に話したら、住職は「貂のいたずらですよ」と平気な顔をしていた。
またある夜、客僧が夜中に雨戸の隙間から小便したら、何物かに戸を閉められ、一物を戸に挟まれ悲鳴をあげた。
貂のいたずらだった。
この貂は機嫌のよい時は、近くの老婆の機織りを手伝ったりしたが、和尚の気に入らない人が来ると、床を持ち上げたり、戸障子をゆすったりして、客を早く逃げ帰らせた。
この寺の第七世円称和尚が新しい山門と本堂を建立し、古い山門を月潟村の勝念寺へ、本堂を根岸村の西照寺へ売ったが、この木材に貂がついていき、いたずらして困ったと言う。
ある時、和尚が寝物語に味噌が無くなったと話したら、翌朝台所にたくさんの味噌玉が積んであったと言う。
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円周寺は、現在は住宅街の一角にある。
あたりには自然も少なく、野生の小動物がいる気配は無い。
伝説には貂(テン)とあるが、イタチが何百年過ごし妖怪化したものを貂と呼んでいたようなので、イタチかもしれない。
いずれにせよ、そのような小動物が、この寺に住み着いていたという。
そんな、小動物が、怪音をさせたり、寺を揺らしたりのいたずらをする、と言う。
なんとも長閑な話だ。
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しかし、便所にいかず、部屋から小便をしていたら戸を閉められて、一物を挟まれた。などというのは、人間くさすぎるような気もする。
これ、実際は寺の者が、いたずらをしていて、それを貂のせいにしているのではないかという気もする。
貂は実際に寺に住み着いていて、近くの老婆の家まで散歩したりするが、それだけのことではないか。
ということを疑いたくなるような円周寺側にとって都合がよい話ではある。
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円周寺は、実際に訪れてみると、先にも書いたが、住宅街の一角にあり、小動物などは、もう住んでいないだろうなとも思う。
だが、昭和の頃までは、この辺りはまだ整備されていない所もあり、自然も多くあり、動植物も多くいたのだろうなと思われる。
そんな時代の話なのだろう。
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