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熱中症になる人、ならない人

熱中症になりやすいのはどちら?

1、    肥満の人
2、    痩せ型の人

 答えは1

肥満は、熱中症のリスクの一つなのです。
他に、熱中症になりやすい要因はいろいろあります。一つずつ見てみましょう。

肥満


肥満の人はそうでない人に比べて、体温も上昇しやすく発汗量が多いことが研究で明らかになっています。この理由として考、皮下脂肪が多いため体内の熱を逃しにくいこと、そして汗をかいたら表面の水分が蒸発するときに熱を逃してれるので皮下脂肪が多い人ほど発汗が増えることが考えられています。
 


人間の体は水が60%を占めています。女性は皮下脂肪が多いので55%くらいです。
さらに、肥満で脂肪量が多いと体内の水分の割合は下がります。脳や腎臓、肝臓、筋肉などの臓器の水分の割合は80%くらいですが、皮下にある脂肪組織のほとんどである中性脂肪の水分の割合は33%しかありません。
皮下脂肪が増えるほど、体の水分の割合は少なくなります。
つまり、肥満は体に対して水分が少ないので脱水になりやすい体質なのです。
 
脱水は熱中症の原因です。
大量に発汗すると、水とナトリウムが大量に出ていくので、ナトリウム、カリウムなどのミネラルのバランスが大きく崩れて熱中症になります。
汗をかく前から水分量が少ないことは、熱中症のリスクを上げるのです。

高血糖


血糖が高いと、熱中症になりやすいです。
高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があります。
また、血液中のブドウ糖濃度が高いと、それを薄めるために血管の外側から水分を取り込み続け、血管内の水分が増え過ぎます。その結果、尿として体外へ排出される浸透圧利尿が生じてしまうのです。
尿量が増えすぎると、脱水になりますので熱中症のリスクが高まるのです。
夏は、そうめん、ビール、清涼飲料水、アイスクリームなど糖質の摂取量が増えやすい季節です。さらにお盆などの連休ではついつい食べる時間が長くなり血糖が上がりやすいので気をつけましょう。


飲酒 (前夜の飲酒も含みます)

飲酒は脱水の原因になるため、熱中症の大きなリスクです。

脱水になりやすい理由は、アルコールによる利尿作用です。お酒を飲んだら、それ以上に尿として水分が出て行きます。
特にビールは、1Lのビールを飲むと1.1Lの水を失うと言われています。

さらに夏の炎天下でのビールは、発汗で一層水分が失われる条件であるため、より脱水になりやすいのです。

そして、アルコールの分解のために体内の水分を使ってしまいます。
アセトアルデヒドは体内で酢酸(お酢に含まれる酸味成分)に分解され、さらに二酸化炭素と水になり、尿や汗、呼気等になって排出されます。
その分解過程で必要となる酵素の働きに、水が必要なのです。

前日にお酒を飲んで寝ると、このような理由で朝起きたときには軽い脱水状態になっています。飲んだ翌朝は、なんだか口が渇いていませんか?

翌日炎天下で長時間過ごすことがあるなら、前日の飲酒は控えた方が賢明です。

朝食を抜く

1日に摂取する水分量は約2,100mlと言われています。飲水からが1,000ml、食事からが1,100mlです。ゴクゴクと飲む水分よりも食事から取り入れる水分の割合が多いということになります。

もし朝昼晩の食事を均等に食べたとしたら、1回の食事からとる水分は約330mlですので、1食抜くということはその分の水を多く飲む必要があるということになります。朝食を抜いたら、量にして缶ジュース1本弱くらいの水分量を余計に取る必要があることになります。

だからと言って、じゃあ朝食を食べる代わりに水を飲む量を330ml増やせばいいかというと、そうでもないので気をつけて下さい。

野菜、ご飯、肉など、多くの食材の75%以上は水分でできています。そして、水分以外にナトリウムやカリウムなどのミネラルやビタミンが含まれています。食材に含まれるミネラルと一緒に水分をとるのは、スポーツドリンクを飲むのと同じような効果があるのです。
さらに、野菜や穀物、海藻類などには食物繊維が含まれます。食物繊維は水分と混ざり合って胃から腸に流れていきます。そして、水分は小腸から7割、大腸から2割が吸収されます。
飲み物として摂る水分は一気に胃から小腸へと流れ込みます。一度に流れ込むと、吸収できない水分が増え、それは尿として排泄されます。食べ物として摂る水分は食物繊維とともにゆっくり腸を移動していくので体内に長くとどまるので、すぐに尿として排泄されずに徐々に私たちの体に水分を与えてくれます。

一昔前の日本人は、朝食にご飯と味噌汁、そして漬物やお魚などでたっぷり栄養をとって出かけていました。現代の日本人の多くは起きたらすぐに準備して出かけて、コンビニの菓子パン、おにぎり、カフェオレなどで簡単に朝食を済ませてしまう人が多いようです。コンビニ朝食では、糖質が多く塩分やミネラルが不足しがちです。
朝食は、熱中症を予防する上でとても大切です。

睡眠不足

睡眠が不足していると翌日の深部体温が高くなることが分かっています。独立行政法人労働安全衛生総合研究所の調査では、被験者に7〜8時間眠った翌日と、4時間しか眠らなかった翌日に、熱暑条件(室温35℃、湿度40%)で午前2回、午後2回の計4回、それぞれ40分間のウオーキング(時速3.5km)をさせました。

その結果、4時間睡眠のグループはもう一つのグループに比べて午後のウオーキング後に深部体温が高い状態となっていました。睡眠不足だと、高くなった深部体温の下りが悪いという可能性があります。

参考記事:ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/403964/071200088/?P=1

以上、熱中症になりやすい人となりにくい人の生活パターンを中心に述べてみました。熱中症のリスクは梅雨明けや猛暑といった環境要因、作業要因、他に年齢なども関係しています。

水と塩だけ準備すればいいと思わずに、普段の生活を整えて熱中症になりにくい体づくりを心がけてみましょう。

福岡市健康づくりチャンネル「新生活の熱中症予防」


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