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Web3についてがよく分かる「Web3の未来」

こんにちは、サカモトです。

今回は昨日の記事に引き続き、中島聡さんの「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」の紹介です。

この本は昨日も書きましたが、Web3について書かれた本の中でも、説得力がある本だと思います。

この本の素晴らしい点

まずは、Web3の基本的な事項であるブロックチェーン、スマートコントラクト、NFT、DAOなどのキーワードについて優しく説明しているところですね。

また、DAOについて理解するため、実際に「最もDAOらしいDA Oである」Nouns DAOに参加していることも説得力を高めています。やはり経験談に勝る説得力はないですからね。

その上で、DAOのいい点、悪い点について述べています。よく語られるのが、DAOは株式会社に取って代わる理想の組織だということですが、もちろん、そんなことはなく、やはりきちんと欠点についても述べられていてこの本のいい点の一つです。

ブロックチェーンの課題

この本の中で、きちんとWeb3の基礎となるブロックチェーンの課題についても触れられていて、この説明についてはあまり他の本ではみたことのない素晴らしい説明なので、その部分だけ抜粋します。

課題1:Apple Watchよりも処理能力で劣るワールドコンピュータ
イーサリアムなどのブロックチェーンは、世界中の100万台のパソコンによって構成される1台のバーチャルマシン(開発者はワールドコンピューターと言っている)なのですが、その処理能力は低く、Apple Watchより低いそうです。
ワールドコンピュータの性能を上げるため、エンジニアが取り組んでいるそうですが、なかなかうまく進んでいないのが現状です。

課題2:電力消費が大きい
ビットコインを動かしていくためにはマイニングが必要ですが、マイニングには計算能力の高いマシンなどをフル稼働させる必要があり、膨大な電気料金を消費することが知られています。

課題3:著作権違反等への対応
ブロックチェーン上に一度のったデータは2度と消せないというのがあります。誰かが著作権違反のデータをブロックチェーン上に載せてしまうとそれを阻止できないということになります。

こうした課題は他の本ではあまり見られないのではという気がします。
特に課題1のワールドコンピュータの処理能力が低いというのは初めて聞きました。

これら以外にも、Web3は通貨のイノベーションに関わる部分があるので、金融系の人がたくさん参入してきており、詐欺事件やポンジスキームなどに騙されないようにすることなどが必要だということも触れられています。

Web3の未来はあるのか

こうした問題点があるものの、現段階においてWeb3を有効に活用できるのは、利益や売り上げよりも「世の中に価値を提供する」ことを優先することこそが理想だとしています。

つまり、非営利法人が規模や利益を追求しないで、運営し続けられる仕組みを整えることが設計によっては可能であり、それが現時点の唯一のWeb3の未来と考えているとしています。

DAOが国家や株式会社に取って代わるなど勇ましいことを言う方が多い中で、なるほどと納得できる結論のように思います。ただし、設計の部分はなかなか難しい部分があって、自律的に経営し続けられるDAOを作るのはなかなか難しいようにも思いました。

しかし、まだまだ試行錯誤の段階であるので、そのうちにうまく回っていくような仕組みが出てくれば、世の中ちょっとは良くなるのではと思えてきました。そう言う意味で希望の持てる本です。


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