見出し画像

”店舗DX”は店舗経営の救世主となるか?

こんにちは!
デジタル&フィジカルデザイン編集部です。

本日は2021年4月12日にUSENが発表した「まるっと店舗DX」という新プロジェクトをご紹介しながら、”店舗DX”は店舗ビジネスにとっての救世主となるのかを考えてみました!

バズワード化しつつある「店舗DX」

IT業界やデジタル業界などでデジタルトランスフォーメーションという言葉を”DX”と略しながら使い始めてからだいぶ時間が経ちました。今や経産省や政府などもDXという言葉を用いた説明を行うことによって、DXという言葉は主にビジネスマンの中ではだいぶ浸透してきたのではないでしょうか。

このDXの冠に店舗をつけて”店舗DX”という言葉が最近少しずつメディアなどでも取り上げられるようになってきています。
その際たる例が恐らく今年3月に発刊された日経MOOKの「実践!店舗DX」というムック本ではないでしょうか?

日経ムック

引用元:日本経済新聞出版社

言うまでもなく現在多くの小売・飲食業は大打撃を受けており、経営回復のための救世主/切り札として、DXへの期待が高まっていることを窺わせる世の中の動きとして捉えることもできるのではないかと思います。

そのような中、USENがいち早く”店舗DX”という言葉に目をつけ、サービスに「まるっと店舗DX」というわかりやすい名称をつけて、店舗を持つビジネスを展開する事業者に訴求を始めたのはさすがだなぁと思いました。

USENが提供する店舗DXとは?

以下のようニュースリリースを2021年4月12日にUSENさんは出されました。

(USEN-NEXT HOLDINGS ニュースリリースより抜粋)
USEN-NEXT GROUPの株式会社 USEN(本社:東京都品川区、代表取締役社長:田村 公正)は、俳優の北村一輝氏が手掛ける『大阪マドラス22号店(下北沢)』の店舗DXをサポートいたしました。
店舗経営がコロナ禍により大きな転換期を迎えている中、弊社では店舗のDXがこの局面の打開に必要不可欠であると考えております。今回、まさにそのコンセプトでの店舗経営を目指す「大阪マドラス22号店(下北沢)」にて、店舗DXを可能にする弊社の各種ソリューションを多数ご導入いただき、業務効率化、省人化、非接触化が進むものと期待されております。

今のところ情報ソースがUSENのニュースリリースのみのため想像も含まれますが、おおよそ以下のようなUSENの各種ソリューションを「まるっと」まとめて主に飲食店に提供し店舗DXを強力に推進するという原理だと思われます。

USEN光Plus:
事業会社向けの光回線通信サービス

Uペイ、UペイQR:
クレジットカード、電子マネー、QRコード決済に対応する決済端末サービス

U MUSIC:
USENの本家本元である音楽配信サービス
有線ラジオ、有線放送などと言ってもわからない人も多いかもしれませんw

U EYES:
防犯カメラ映像を用いたセキュリティと来店客分析ができるサービス

UレジFOOD:
タブレット型のPOSレジシステム(飲食店用)

UレジMobile Order:
店内でスマホから注文ができるセルフオーダーシステム

NEXTクラウドビュー:
クラウド型防犯、監視カメラ

これらUSEN印の各ソリューションを導入して一気に店舗DXを進めましょう!という、そういった狙いではないでしょうか?

そこで深堀りしてみたいのが、これらを導入することが店舗経営者にとっての救世主、即ち売上や利益の回復拡大といったことへ大きく貢献するものになり得るのか?という側面です。
確かに店舗DXの典型例とし取り上げられることの多いキャッシュレス決済やモバイルオーダー、来店客の分析といった機能面ではUSENの提供するソリューションも充足しており、これらを用いた効率化、省人化によるコストダウン→利益創出は見込めます。
また、店内のお客様が店員を呼ぶことなくスマホに表示されたメニューから注文を行え、極力非接触でサービスを享受できるといった体験は、お客様にとってのこれまでのペインを取り除く新しい価値を提供できるようになります。


”DX”を行う本来の目的を『従来の事業やサービスの仕組みをデジタルの強みを活かした形に変化させることで、顧客に提供する新しい価値を創出しその新たな提供価値を持続的優位性の確保の源泉とすること』とした場合、当たり前ですがソリューションを導入することだけではその目的が果たされるわけではないでしょう。これから店舗DX”ならでは”の機能を導入する店舗は益々増えていくことが予想されますから、モバイルオーダーができる、キャッシュレス決済に対応している、といったこと自体は店舗の差別化要素=持続的優位性とはなり得ない、つまり売上を上げる要因になるとは考えづらいのではないでしょうか?

大事なのは、店舗に訪れるお客様の喜ぶ顔を想像してデジタルなソリューションを選ぶこと。

自店舗のお客様に向き合い、そしてそのお客様が喜ぶことは何なのか?を考えるのが月並みな言い方にはなりますが、最も大事なことなのではないでしょうか。そんなことは分かっているよと言われてしまうかもしれませんが、店舗のDX化においてもそれは同様なのではないかと思います。

お店にはお店それぞれの色があり、それと同じ様にデジタルの導入がされるべきというのが僕の持論です。
例えば、お店によってはキャッシュレスでの支払いをお客様が望まないお店もあるでしょう。やはりこのご時世、店内に滞在することは極力避けたいからテイクアウトしたいといったニーズが高いお客様が多くいるお店もあるでしょう。または、お店の雰囲気やスタッフ・他のお客様同士が形成するコミュニティが好きだけど今は行けなくて残念だと思うお客様もいるかもしれません。
そのような、お店を好きでいてくれるお客様の望みを叶えるために、敢えてキャッシュレス決済は導入しない、UberEats等のプラットフォームに頼らない独自のテイクアウト仕組みの導入、もしくは自店舗用アプリを通じたECやコミュニティツールの提供など、それぞれのお客様のタイプやニーズにあった検討をするのが本来のあるべき姿なのではないか?そんな風に僕は思います。

ここまでの内容がUSENさんの「まるっと店舗DX」を批判するような風に聞こえてしまっているかもしれませんがそれは誤解で、店舗DX推進のために素早くサービス化し情報をリリースするそのフットワークには本当に脱帽しますし、これらそれぞれのソリューションが店舗経営に役立つことは間違いありません。しかしUSENさんのソリューションだけでなく世の中のどんなソリューションでも言えますが、導入すれば売上が上がる、店舗DXが完了するといったことはなく、救世主そのものは店舗経営者自身に内在するものなのではないかということを言いたく、書いてみました。

ここまでお読み頂き有難うございました!

アイキャッチに利用した画像の版権元
<a href='https://www.freepik.com/vectors/business'>Business vector created by pikisuperstar - www.freepik.com</a>

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?