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新しい購入体験①レジに並ばない買物スタイル。イオンの「 レジゴー」とは?

イオンが始めた新しい取り組み「レジゴー」とは?

大手スーパー「イオン」がレジに並ばないお買物スタイル「どこでもレジ レジゴー(以下、レジゴー)」を本格展開しました。現在は東京・千葉・神奈川を中心に約20店舗ほど導入されています。導入しているイオンスタイル有明ガーデンでは、6月の直近1ヶ月においては利用率が30%と徐々に増えつつあるとのこと。レジに並ばない買い物スタイルとはどのようなものなのか?使いやすさはどうか?などを実際に体験してきました。

レジゴーの仕組み

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引用元:PR TIMES

「レジゴー」は店舗に設置されている専用のスマートフォンを使って、ユーザー自身で商品のバーコードをスキャンし、専用レジで会計する仕組み。使うことで以下のようなメリットがあります。

・混んでいるレジに並んでいる時間が少ない(混雑を避けられる)
・購入前の商品の合計金額がわかる
・購入商品が端末でも確認できるので、買い忘れ防止につながる

特にコロナ渦における人混みを避けたいというユーザーニーズにマッチする新しい購入体験の取り組みだと感じています。

どんなユーザーが利用していたか

イオンでお買い物をしている方の同行をチェックししたところ、レジゴーの端末エリアから貸出して使い始めているユーザーは20〜40代のファミリー・カップル層、1人で買い物をしている主婦が多い印象でした。年齢が上がるにつれ、端末を使うことへのハードルは上がると予想されます。

体験レビュー①レジゴーへ誘導するエリア・スペースが大きく取られているため、気付きやすい

最初に店舗に訪れて感じたことは、レジゴーへ誘導するエリア・スペースが大きく取られていたこと。来店するためのエスカレーターを降り、ショッピングカートを手に取る少し先に大きなディスプレイの下に端末が一面に並べられていたため、はじめて利用するユーザーが「これは何だろう?」と興味を持ちやすい導線づくりになっていました。また、すでに利用したことのあるユーザーや、端末を返却する従業員が定期的に利用ブースエリアに訪れていたのもサービスを認知させるための大きなポイント。「新規ユーザーへの認知・興味関心をわかせる」ための入り口としても「どのエリアでサービスを認知させるか?」は非常に重要ですね。

レジゴー1

引用元:流通ニュース

体験レビュー② レジゴーの端末の操作性

レジゴーの端末は、初心者でもわかりやすいような操作性でした。よくある質問を確認できたり、ガイドが用意されているため、基本的には誰かに聞かなくても直感的に使うことができます。ただ、端末自体が大きいため女性や子供は片手操作がしにくいと感じるかもしれません。

商品スキャンの流れ

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引用元:PR TIMES

体験レビュー③ 商品の読み取りは精度が高いが、商品数が多い場合やバーコードの位置を探すのは大変

自分で商品を読み取りながら、カゴに入れていく体験は初回こそ楽しく感じるものの、1回あたりの購入数が多い場合や店頭ポップにバーコードが記載されていない商品のバーコードを探す手間などは大変でした。体感として、1個辺りの商品を読み込むor 元に戻す場合の時間を試算してみました。

1つの読み込みにかかる時間(体感):20〜30秒
商品を削除し、棚に戻す:10〜20秒

上記の時間換算の場合、10個ほど商品を入れたら約300秒=約5分ほどかかります。一度バーコードで読み取った商品を元に戻す場合は端末から削除する必要があるため、10個購入する場合はレジに進むまでに5〜6分ほどの時間を要すると感じました。

そう考えると、「購入する品数によってはレジに並んだほうが早い」ケースもあります。そのため、一番利便性を感じられるのは以下のようなシーンなのだろうと感じました。

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お弁当とビールだけをサクッと買いたい仕事終わりの会社員や、休日でレジがかなり混み合っている場合などは利用のニーズが高まるのではないでしょうか。

体験レビュー⑤ レジゴーの会計レジへの導線がわかりにくい

入り口で「端末を使う」ための導線は明確に設けられているのに対し、実際に会計をするための専用レジがどれにあたるのか?がわかりにくい状態でした。レジゴー専用精算機4台・セミセルフレジ9台もあるとのことでしたが、専用の精算機がどれなのか?がわからず、店員さんに聞いて確認しました。スマートな購入体験を目指す場合は、並ぶレジ・レジゴー専用のエリアのデザインをきっちりと分け、初回利用ユーザーが迷わない誘導を行うのが望ましいでしょう。

支払い自体は端末にある「お支払い」を押下して、専用レジの2次元バーコードを読み取るだけなので、とても簡単でスピーディーでした。(現金、クレジットカード、電子マネーWAONが使えました)

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引用元:PR TIMES

体験レビュー④ただ商品を読み取るだけになっているため、ユーザー側への付加価値が足りない

一番の課題と思われるポイントは「スキャンする手間をかけてでも、レジゴーを使いたい」と思わせられるかだと感じました。初回は「自分でスキャンができることが楽しい」という利用体験から入るものの、慣れてきたり・商品が多いと「面倒だな」と感じることもあるはず。お店のオペレーションとしては「レジの台数を減らし、人件費をおさえられる」「回転率をあげる」などのメリットがあります。その一方でユーザーにとって「スキャンする手間をかけてでも、レジゴーを使いたい」と思わせるための仕掛けの機能は今後必要になってくるだろうと思われます。もし私が企画担当者であれば、以下のような機能の実装を検討するでしょう。

アイディア:端末の中に季節のおすすめレシピがあり、そのレシピに必要な材料とエリアを教えてくれる

メニューを決められないままスーパーに訪れたユーザーに対し、メニューの提案を行うことで「商品を買うきっかけ作り」「レジゴーの利用価値をあげる」案です。レシピに必要な材料がその商品がどこにあるのか?を店内ビーコンで察知し、今いる場所から特定のエリアに誘導するための位置情報が表示されるなどの仕掛けがあれば「考えずに、買える」という新たな付加価値が生まれます。

アイディア:特売や、クーポンの配布

端末上のクーポンを配布するなどして、よりお得に買い物ができるという特典があれば積極的な利用につながると思います。店舗側としても「今売りたい商品」へ誘導することもできますし、実際にクーポンを利用したデータを収集できれば、「その店舗では、何が売れそうなのか」を見極める判断材料を得ることもできるのではないでしょうか。

まとめ

使ってみた体験としては、以下になります。

・端末の貸出や、利用する際のUIは非常によくできている
・購入品数が多いほど、バーコードスキャンが煩わしく感じる
・端末を使う付加価値はまだ弱い印象(もっと+αできる)

新しいスーパーでの「買い物体験」としては、個人的には非常によくできている(ユーザーにも受け入れられている)と感じました。また、今後も競合が参入した場合も踏まえると、「レジゴーにしか出せない体験づくり」を付加価値していく必要があると思います。使っていて楽しい!と思わせる仕掛けを導入できれば、今以上に利用促進が増え、「イオンに行きたい(レジゴーを使いたい)」と感じてもらうベネフィットになると予想されます。

「ニューノーマルな次世代の買い物体験アプリ支援サービス」を始動中!

最後に私たちネットイヤーグループ(デジタル&フィジカルデザインチーム)では、リテール業界に特化した新しい買い物体験を支援するためのアプリ開発サービスが始まりました。

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