見出し画像

朝鮮民主主義人民共和国各級人民会議代議員選挙法

大韓民国国家情報院『北韓法令集』上巻80〜91ページ
日本語訳は、投稿者によるものです。
表紙画像: (stephan), CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0, via Wikimedia Commons

チュチェ81(1992)年10月7日 最高人民会議常設会議決定第24号で採択
チュチェ87(1998)年12月29日 最高人民会議常任委員会政令第321号で修正補充
チュチェ99(2010)年5月11日 最高人民会議常任委員会政令第835号で修正補充
チュチェ109(2020)年1月3日 最高人民会議常任委員会政令第200号で修正補充


第1章 選挙法の基本

第1条(選挙法の使命)

朝鮮民主主義人民共和国各級人民会議代議員選挙法は、最高人民会議と、道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議代議員選挙において、社会主義的民主主義を高く発揚させ、各級の主権機関を人民の忠僕として築き、人民政権を強化することに寄与する。

第2条(一般選挙の原則)

各級人民会議代議員選挙は、一般選挙の原則で行なう。 17歳以上の公民は、性別、民族別、職業、居住期間、財産と知識の程度、党別、政見、信仰に関係なく、選挙する権利と選挙される権利を持つ。朝鮮人民軍、社会安全軍に服務する公民も、選挙する権利と選挙される権利を持つ。
他国に居住している朝鮮民主主義人民共和国の公民も、最高人民会議代議員として選挙されることができ、祖国に滞在する期間に、最高人民会議代議員選挙が行なわれる場合、希望に従い投票に参加できる。
選挙権を持つ者が、裁判所の判決により労働教化刑を受け、執行中にあったり、選挙権を剥奪されたり、行為能力が無いものと判定されたりしたなどの場合には、選挙に参加できない。

第3条(平等選挙の原則)

各級人民会議代議員選挙は、平等選挙の原則で行なう。 選挙する権利を持つ公民は、誰もが一度の選挙で一票の投票権を持つ。 各選挙者の投票効力は等しい。

第4条(直接選挙の原則)

各級人民会議代議員選挙は、直接選挙の原則で行なう。 選挙する権利を持つ公民は、各級人民会議代議員を直接投票して選挙する。 誰でも、選挙者の選挙する権利を代理して行使できない。

第5条(秘密投票の方法)

各級人民会議代議員選挙は、秘密投票の方法で行なう。
選挙者は、賛成、または反対投票の自由を保障される。
誰でも、選挙者に対して、賛成、または反対投票をした事実の公開を要求できず、投票と関連して圧力を加えたり、報復したりできない。

第6条(選挙権の行使条件保障、選挙費用)

国家は、公民が選挙する権利を円満に行使できるよう、必要な条件を保障する。
各級人民会議代議員選挙の費用は、国家が負担する。

第2章 代議員数と選挙期日

第7条(代議員数を定める基準と機関)

各級人民会議代議員の数は、人口数に比例し、代議員選挙がある度に定める。
最高人民会議代議員の数は最高人民会議常任委員会が、地方人民会議代議員の数は最高人民会議常任委員会が定めた基準に従い、当該の人民会議が決定する。

第8条(選挙周期)

最高人民会議代議員選挙は5年、道(直轄市)人民会議と市(区域)、郡人民会議代議員選挙は4年に一度行なう。
不可避の事由により、代議員選挙をできない場合には、その事由が無くなったときから90日以内に実施する。

第9条(選挙の組織方式)

最高人民会議代議員選挙と地方人民会議代議員選挙は、それぞれ行なうことを原則とする。
道(直轄市)人民会議代議員選挙と市(区域)、郡人民会議代議員選挙が同じ年に重なる場合には、同じ日に合わせて行なうことができる。

第10条(選挙期日を定める基準)

各級人民会議代議員選挙は、当該人民会議の任期が満了する30日前までに実施する。

第11条(選挙期日の公布基準)

最高人民会議代議員選挙日は、60日前に最高人民会議常任委員会の決定により、地方人民会議選挙日は、40日前に当該人民委員会の決定により公布する。

第3章 選挙区

第12条(選挙区の組織)

各級人民会議代議員選挙のための選挙区は、選挙する代議員の数に従い、行政区域と人口数を考慮し、選挙ごとに組織する。

第13条(選挙区の数)

各級人民会議代議員選挙のための選挙区の数は、選挙する当該人民会議代議員の数と等しい。

第14条(選挙区の組織機関)

最高人民会議代議員選挙のための選挙区は最高人民会議常任委員会が、地方人民会議代議員選挙のための選挙区は、当該人民委員会が組織する。
朝鮮人民軍、社会安全軍内の代議員選挙のための選挙区は、当該軍部隊が組織する。

第15条(選挙分区)

選挙者の便宜を保障するために、選挙区内に分区を組織する。
選挙分区は、行政区域、選挙者の数、交通条件などを考慮し、当該の市(区域)、郡人民委員会が組織する。

第16条(選挙分区と選挙区を一致させて組織する場合)

道(直轄市)人民会議代議員選挙と、市(区域)、郡人民会議代議員選挙を同時に行なう場合、道(直轄市)人民会議代議員選挙のための選挙区の分区と、市(区域)、郡人民会議代議員選挙のための選挙区は、一致させる原則で組織する。

第17条(選挙区と選挙分区の組織期日)

最高人民会議代議員選挙のための選挙区と分区は、選挙日の40日前まで、道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議代議員選挙のための選挙区と分区は、選挙日の40日前までに組織する。

第4章 選挙委員会

第18条(選挙委員会の成員数)

各級人民会議代議員選挙を保障するために、選挙委員会を組織する。しかし、地方人民会議代議員選挙を行なう場合には、中央に選挙指導委員会を組織する。
各級選挙委員会(中央選挙指導委員会を含む)の成員数は、以下の通りである。

  1. 中央選挙委員会:11名または13名(中央選挙指導委員会:9名または11名)

  2. 道(直轄市)、市(区域)、郡選挙委員会:9名または11名

  3. 区、分区選挙委員会:5名または7名

第19条(選挙委員会の組織機関)

中央選挙委員会は最高人民会議常任委員会が、道(直轄市)選挙委員会は当該の道(直轄市)人民委員会が、市(区域)、郡、区、分区選挙委員会は、当該の市(区域)、郡人民委員会が組織する。

第20条(選挙委員会の構成)

各級選挙委員会は、委員長1名、副委員長1名、書記長1名と委員により構成する。

第21条(選挙委員会の構成成分)

各級選挙委員会は、政党、社会団体において推薦した、各界各層の成員により組織する。

第22条(選挙委員会の成立条件)

各級選挙委員会は、その成員の3分の2以上が参加することで成立し、参加した成員の半数以上の賛成により決定を採択する。 各級選挙委員会は、選挙活動に必要な実務活動家を動員できる。

第23条(選挙委員会の組織と解散期間)

中央と道(直轄市)、市(区域)、郡選挙委員会は、選挙日を発表した日から10日以内に組織し、区、分区選挙委員会は、選挙区、分区を定めた日から5日以内に組織する。
各級選挙委員会は、選挙結果が発表された3日後に解散する。

第24条(選挙委員会成員の労働報酬)

各級選挙委員会の成員が、選挙活動に動員される期間の労働報酬は、彼らの働く機関、企業所、団体において支払う。

第25条(選挙委員会成員の交替)

以下のような場合には、選挙委員会の成員を交替する。

  1. 死亡、重病などの事由により、選挙委員会の成員としての任務を遂行できない場合

  2. この法に背き、選挙活動に混乱や支障をもたらしたり、厳重な結果を招いた場合

  3. 政党、社会団体において推薦された選挙委員会の成員が、所属政党、社会団体の成員の資格を失った場合

  4. 区、分区選挙委員会の成員が、当該選挙区代議員候補者として推薦、登録された場合

第26条(選挙委員会成員の交替機関)

各級選挙委員会成員の交替は、当該選挙委員会を組織した機関において行なう。

第5章 選挙者名簿

第27条(選挙者名簿の作成単位)

各級人民会議代議員選挙のための選挙者名簿は、選挙ごとに、選挙分区(区)を単位として作成する。
道(直轄市)人民会議代議員選挙と市(区域)、郡人民会議代議員選挙を同時に行なう場合には、一つの選挙者名簿を作成する。

第28条(選挙者名簿の作成機関)

選挙者名簿は、分区(区)選挙委員会が、当該の里、邑、労働者区、洞事務所とともに、選挙日の15日前までに作成する。
公民登録機関は、選挙者名簿作成に必要な資料を保障しなければならない。
朝鮮人民軍、社会安全軍の選挙者名簿は、当該軍部隊が作成する。

第29条(選挙者名簿の登録対象)

選挙者名簿には、当該地域に居住する、選挙する権利を持つすべての公民を登録する。

第30条(選挙者名簿の登録内容)

選挙者名簿には、選挙者の氏名、性別、生年月日、住所などを正確に記載する。

第31条(選挙者名簿の公示期日)

選挙者名簿は、すべての選挙者が見られるように、選挙日の15日前までに選挙分区(区)の便利な場所に、その写本を公示する。
選挙者名簿の公示は、当該分区(区)選挙委員会の名前で行なう。

第32条(選挙者名簿に対する意見提起)

公示された選挙者名簿に誤りがあると認定する選挙者、または関係者は、その事実を当該分区(区)選挙委員会に提起しなければならない。
分区(区)選挙委員会は、提起された事実の正確性を慎重に調査し、選挙者名簿に誤りが確認されれば、速やかに名簿を修正し、それについて当該の選挙者、または関係者に知らせなければならない。

第33条(選挙者の移動手続き)

選挙者名簿が作成された後、他の選挙区から居住地を移してきたり、他の選挙区へと居住地を移す公民は、選挙する権利を放棄しない限り、自らの移動事由を、分区(区)選挙委員会に知らせ、手続きを行わなければならない。

第34条(選挙者の除名)

次のような場合には、選挙者を選挙者名簿から除名する。

  1. 死亡したり、行為能力を失った場合

  2. 法に従い、選挙する権利を剥奪された場合

  3. 選挙分区(区)の範囲を越え、他の地域へと移った場合

第6章 代議員候補者

第35条(代議員候補者の推薦権者)

各級人民会議代議員候補者は、選挙者が直接推薦したり、政党、社会団体が共同、または単独で推薦する。
推薦者は、推薦した代議員候補者を区選挙委員会に知らせなければならない。

第36条(代議員候補者の登録条件)

推薦された各級人民会議代議員候補者は、100名以上の選挙者会議において資格審議を経たのち、当該選挙区の代議員候補者として登録されることができる。
代議員候補者の資格審議はのための選挙者会議は、区選挙委員会が組織する。

第37条(代議員候補者の資格審議のための選挙者会議)

代議員候補者の資格審議のための選挙者会議は、住民居住地域、または機関、企業所、協同農場、学校、軍部隊において行なう。
選挙者会議には、推薦された代議員候補者を参加させることができる。

第38条(代議員候補者の資格審議の内容)

代議員候補者の資格審議のための選挙者会議では、推薦された候補者の氏名、性別、年齢、住所、政党、社会団体、職場・職位、経歴を紹介しなければならない。
会議に参加した選挙者は、推薦された代議員候補者が、人民の代表者としての資格を備えているかを審議しなければならない。

第39条(代議員候補者登録の決定)

各級人民会議代議員候補者の登録は、候補者の資格審議のための選挙者会議の参加者の半数以上の賛成をもって決定する。

第40条(代議員候補者登録とその順位)

区選挙委員会は、選挙者会議の決定に従い、代議員候補者を登録し、それについて本人と推薦者に知らせなければならない。
代議員候補者登録順位は、推薦順位に従う。

第41条(複数の選挙区において推薦された代議員候補者の登録)

複数の選挙区において推薦された代議員候補者は、いずれか一つの選挙区にのみ登録することを発表しなければならない。
この場合、他の選挙区における推薦は取り消される。

第42条(一つの選挙区に登録できる代議員候補者の数)

各級人民会議代議員選挙において、一つの選挙区に登録できる代議員候補者の数は、制限しない。

第43条(代議員候補者の推薦、登録期間)

各級人民会議代議員候補者の推薦と登録活動は、区選挙委員会を組織した日から5日以内に始め、選挙日の7日前までに終えなければならない。

第44条(代議員候補者の登録の取消条件)

次のような場合には、代議員候補者の登録を取り消す。

  1. この法により、代議員として選挙される権利を失った場合

  2. 政党、社会団体の推薦を受けた候補者が、所属政党、社会団体の成員の資格を失った場合

  3. 死亡、重病のような事由により、代議員の活動をできなくなった場合

第45条(代議員候補者の登録取消の決定)

各級人民会議代議員候補者に対する登録取消は、候補者を登録した当該区の選挙委員会が決定する。
区選挙委員会は、代議員候補者登録を取り消した事由を、上級の選挙委員会と本人、推薦者に知らせなければならない。

第46条(代議員候補者の補充推薦登録)

候補者登録が取り消された場合、当該の選挙区では、異なる代議員候補者を推薦、登録できる。

第47条(代議員候補者の公示)

分区(区)選挙委員会は、選挙日の7日前までに、登録された代議員候補者を、写真とともに、氏名、性別、年齢、職場・職位、簡単な経歴を明らかにし、公示しなければならない。
代議員候補者に関する公示は、選挙分区(区)の便利な場所や、洞、人民班、機関、企業所、団体の警備(受付)室をはじめとして、人々が多く往来する場所に行なうことができる。

第7章 選挙宣伝

第48条(選挙宣伝の組織指導)

選挙宣伝は、各級選挙委員会が組織指導する。

第49条(選挙宣伝の自由)

政党、社会団体、選挙者は、法の定める範囲内で、選挙宣伝を自由に行なうことができる。

第50条(選挙宣伝の期間)

選挙宣伝は、選挙日を公布した時から行ない、各級人民会議代議員候補者に関する宣伝は、代議員候補者登録が完了したときから行なう。

第51条(選挙宣伝の形式と方法)

選挙宣伝は、出版宣伝、放送宣伝、直観宣伝、芸術宣伝、口頭宣伝のように、各種の形式と方法により行なう。

第52条(選挙宣伝の内容)

選挙宣伝においては、選挙者に対し、選挙の目的と意義、選挙法に規定された選挙者の権利、選挙の手順や方法を知らせたり、候補者を紹介し、高い政治的熱意を持って選挙に参加することを呼びかけたりできる。

第53条(選挙宣伝の禁止事項)

選挙宣伝においては、以下のような事項を禁止する。

  1. 反対投票、棄権、選挙破壊を扇動すること

  2. 個別的候補者を誹謗すること

  3. 選挙委員会の承認なしに集会や示威を組織すること

  4. 選挙委員会が承認しない宣伝組織を結成すること

第8章 選挙場

第54条(選挙場を築く義務)

分区(分区が無い場合には区)選挙委員会は、選挙場を築かなければならない。

第55条(選挙条の具備条件)

選挙場には、投票室と、選挙委員会の成員が活動できる事務室がなければならず、火災や自然被害を防ぐための対策が立てられていなければならない。

第56条(投票室)

投票室は、投票の秘密を保障できるよう、選挙日の3日前までに築く。 投票室には、投票箱と筆記道具を備える。
選挙場と投票室は、旗、花などで装飾できる。

第57条(選挙場の警備組織)

選挙場には、選挙日まで、昼夜警備が組織されなければならない。
選挙場警備は、分区(区)選挙委員会が行なう。

第58条(選挙場の紹介)

分区(区)選挙委員会は、選挙日の3日前までに、選挙者に選挙場の位置を知らせなければならない。
選挙者は、自らが選挙する選挙場と投票室の状態を見て回ることができる。

第9章 投票

第59条(投票時間と投票単位)

各級人民会議代議員選挙のための投票時間は、季節を考慮し、選挙ごとに中央選挙委員会(中央選挙指導委員会)が定める。
投票は、選挙分区(区)単位で行なう。

第60条(選挙参観成員)

分区(区)選挙委員会は、選挙者の意思に従い、当該選挙区の選挙者の中から5名の選挙参観員を選出しなければならない。
選挙参観員は、選挙者の投票を除いた選挙進行状況を見ることができる。

第61条(投票開始の手順)

投票は、分区(区)選挙委員会の成員が、選挙参観員とともに、投票室と投票箱の正常状態を確認し、投票箱を封印したのちに開始する。

第62条(選挙者の投票)

選挙者は、選挙者名簿に登録された当該選挙区において投票しなければならない。
一つの選挙区内においては、必要な場合、分区(区)選挙委員会において発給した選挙権証明書を持ち、異なる選挙分区に行き、投票できる。
特殊な場合、選挙者は、選挙権証明書を持参し、異なる選挙区に行き、投票できる。
一つの選挙区内において、異なる選挙分区、または異なる選挙区において選挙に参加する選挙者は、当該分区(区)選挙委員会に行き、選挙者名簿に登録し、投票しなければならない。
当該分区(区)選挙委員会は、選挙権証明書を持参した選挙者を、選挙者名簿に登録するとき、投票する代議員候補者についてよく知らせなければならない。

第63条(選挙票)

投票しようとする選挙者は、分区(区)選挙委員会の成員に、公民証、または公民証の代わりとなる証明書を提示し、選挙者名簿と対象確認させたのち、選挙票を受け取る。
選挙票の規格と様式は、選挙ごとに、最高人民会議常任委員会が制定し、その製作を組織する。

第64条(無記名投票)

投票は、無記名投票の方法により行なう。
選挙者は、賛成の場合は標識をせず、反対の場合は候補者の氏名に横線を引く。

第65条(投票条件の保障)

選挙者が賛成、または反対の表示をして投票する場合、投票室には、何人も立ち入ったり、覗いたりできない。

第66条(投票を終える手順)

分区(区)選挙委員会は、投票終了時間を迎えたとき、投票を締め切ることを知らせ、投票を締め切らなければならない。投票終了時間になったとしても、投票のために待つ選挙者がいれば、投票を保障しなければならない。

第67条(移動投票)

重病、年老、身体障害などの事情により、選挙者が選挙場に出てこられない場合には、分区(区)選挙委員会の成員が、選挙票と封印された移動投票箱を持って行き、投票させることができる。この場合、直接投票できない選挙者は、異なる人を指定し、自らの意思に即して投票させることができる。

第68条(移動投票参加状況の報告)

移動投票を行なった分区(区)選挙委員会の成員は、投票終了時間の前に、当該選挙分区(区)に到着し、分区(区)選挙委員会に、封印された移動投票箱を提出し、投票参加状況を報告しなければならない。

第10章 投票結果の確定

第69条(投票結果の計算時期と場所)

投票時間が過ぎ、投票が終われば、投票結果を計算する。
投票結果の計算は、分区(区)選挙委員会の成員が、選挙委員会の事務室において行なう。

第70条(投票結果の計算手順)

投票結果の計算を開始するとき、分区(区)選挙委員会の成員は、選挙参観員とともに、投票箱の封印状態を確認し、選挙参観員が見ている前で、投票箱を開き、投票箱内にある選挙票の数と、発行した選挙票の数を突き合わせなければならない。

第71条(選挙票の無効)

賛成と反対の表示が明確でなかったり、制定された規格、様式と異なる選挙票は、無効とする。
選挙票の無効決定は、分区(区)選挙委員会の成員が、多数決で行う。

第72条(計算方法、投票結果の報告)

投票結果の計算は、代議員候補者別に有効な賛成票を分け、比較する方式により行なう。
分区(区)選挙委員会は、出席した成員全員が合意し、投票結果報告書を作成し、署名したのち、速やかに上級の選挙委員会に送らなければならない。

第73条(当選者の確定方法)

当選者確定は、区選挙委員会が行なう。
区選挙委員会は、分区選挙委員会から送られてきた投票結果報告書を、代議員候補者別に総合計算し、当選者を確定する。

第74条(当選条件と基準)

当選者は、当該選挙区において投票した選挙者の半数以上の賛成を獲得した代議員候補者である。
一つの選挙区に登録された代議員候補者の中で、投票に参加した選挙者の半数以上の賛成を獲得した候補者がいなかったり、候補者が獲得した賛成票数が同じ場合には、当選者がいないものとする。

第75条(選挙結果の報告)

当選者を確定した区の選挙委員会は、速やかに選挙結果に関する報告書を作成し、上級の選挙委員会に提出しなければならない。

第76条(当選者の発表)

当選した最高人民会議代議員は中央選挙委員会が、道(直轄市)人民会議代議員は当該の道(直轄市)選挙委員会が、市(区域)、郡人民会議代議員は当該の市(区域)、郡選挙委員会が発表する。
各級人民会議代議員選挙の結果に関する総合資料は、中央選挙委員会(中央選挙指導委員会)が発表する。

第11章 再選挙と補充選挙

第77条(再選挙の実施条件)

以下のような場合には、当該選挙区において再選挙を実施する。

  1. 登録された代議員候補者の中で、当選者がいない場合

  2. 当選者が、任期開始前に死亡したり、選挙される権利を失った場合

第78条(無効選挙と判明した場合の再選挙)

選挙が無効と判明した場合には、無効選挙となった当該選挙区、または選挙分区においてのみ、再選挙を実施する。
選挙過程の一部が、この法に背き、無効と判明した場合には、その部分より始め、再選挙を実施する。

第79条(補充選挙の実施条件)

以下のような場合には、各級人民会議代議員補充選挙を実施する。

  1. 代議員が死亡した場合

  2. 代議員が選挙者の信任を失い、召喚された場合

  3. 道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議代議員が異なる地方へと移った場合

第80条(補充選挙を実施する選挙区)

各級人民会議代議員補充選挙は、代議員が欠員した当該選挙区において実施する。

第81条(補充選挙を実施しなくてもよい条件)

各級人民会議代議員の残り任期が1年を超過しない場合には、補充選挙をしなくてもよい。

第82条(再選挙や補充選挙の手順と方法)

再選挙や補充選挙の手順と方法は、この法に従い、最高人民会議常任委員会が別に定める。

第12章 信訴処理と制裁

第83条(信訴の提起)

選挙する権利と選挙される権利を持つ公民は、自らの権利が侵害されたと認定する場合、または機関、企業所、団体、公民が、この法に背いたと認定する場合、当該選挙委員会に、口頭、または書面により、信訴を提起できる。

第84条(信訴の処理)

公民から信訴を受けた当該の選挙委員会は、信訴を受けた日から3日以内に審議、決定し、結果を信訴者に知らせなければならない。

第85条(再信訴)

信訴に対する選挙委員会の決定について、意見のある信訴者は、人民裁判所に問題解決を提起できる。選挙に関連した意見は、選挙が終わったのちであっても、各級裁判所に提起できる。
当該の裁判所は、提起された問題を正確に審理、解決しなければならない。

第86条(行政的、または刑事的責任)

この法に背き、選挙活動に厳重な結果をもたらした者には、情状に従い、行政的、または刑事的責任を負わせる。


関連記事

この法は、2023年夏に修正補充されました。改正内容について、『民主朝鮮』が連載記事にて解説しています。以下のリンクは、その日本語訳です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?