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窓、窓、窓。もっと真剣に考えたい窓のこと。②FIX&トリプルを基本に

樹脂サッシのトリプルガラスにしましょう。できるだけFIXにしましょう。
そのうちクアドラブルが実用化されるかもしれませんが、現在のところ、普及しているものの中ではトリプルガラスが最も層の多いものでしょう。そして断熱ということに関して言えばFIXが最も性能が出ます。
というわけで、窓はFIX&トリプルを基本に考えていきましょう、というお話です。


樹脂トリプルのすごさ

このYKKのページを上から下まで読んでいただくと、トリプルガラスにしたらどのようなメリットがあるかわかっていただけるかと思うのですが、ボリュームも大きいのでかいつまんで説明します。

まず、高性能と言われる窓は、ガラスそのものが違います。Low-Eと言われる金属膜を塗布することで、断熱性能を上げています。最近建った家の窓を見ると、なんか反射が強いような気がしませんか? それがLow-Eガラスなんですね。外から見てもわかりますね。さらに被膜の種類を変えることで、日射による熱を採り入れたい窓か、日差しを反射して熱を避けたい窓か、という目的の違いに対応しています。
次にそのガラスを二枚、三枚と増やすことで、空気層を挟んで断熱性能を上げています。その空気をさらにアルゴンガスにすることで、より性能を上げているのが現在の高性能窓です。当然、サンドイッチにするほうが性能が上がるので、ダブルよりトリプルのほうが断熱性能が高まります。
サッシは樹脂です。アルミより断然熱を伝えにくいです。
と、機能の素晴らしさを書き出しましたが、もちろん性能が高くなればお値段も高くなりますので、トリプルが100%良いことずくめというわけではありませんが、デメリットを敢えて挙げても値段くらいなものですから、90%くらいは良いことずくめと言っていいでしょう。
では、樹脂トリプル窓アルゴン封入は、どのくらい体感できるものなのでしょうか?

本当に結露しません

何がすごいって、本当に結露がありません。
お風呂のドアを開けたままシャワー浴びつつワイワイとみんなで鍋を囲んでる、という状況であれば窓は曇りますが、日常、窓が結露しているのを見たことがありません。YKKのショールームで聞いても、まず結露は起こらないと言われましたし、HMや工務店でも、換気ができてる高断熱の家で樹脂トリプルなら結露したという話は聞かないとまで言われて、我が家では窓の周りを無塗装の無垢材で囲ってあります。もちろん、今まで結露したことはありませんので、木はシミ一つなくきれいなままです。

窓際がヒヤっとしない

寝室のベッドの頭の位置の上に窓があります。カーテンをかけているのもありますが、真冬でも冷気が降りてくると感じたことはありません。
冬に、窓から外を見ようとカーテンを開けても、カーテンの向こう側には少し室温より低いかな?くらいの空気があるだけで、ひんやりするという感じはありません。
換気で空気が回っていることもありますが、壁のそばと窓のそばで室温に差があると感じられないほどに、断熱性が高いです。もはや透明な壁では?と思うほど。我が家では、寝室のベッドの、ちょうど頭の上に窓があるという配置になっていますが、真冬の朝方でも冷気が下りてくるという感じはしません。
樹脂サッシはいわゆるプラスチックのようなものなので、真冬に触っても冷たいという感じはしません。なるほどこれは結露しないわけだ、と思います。

音がしない

雨が横殴りで窓ガラスを叩くような日でも、室内にいると気が付かないことがあります。風の音もそうですが、窓ガラスを直接叩くような雨でも、耳を澄まさないと雨音が聞こえません。我が家の場合は、断熱層が厚い屋根の上に瓦を乗せているので余計に雨の音が聞こえにくいのですが、それにしても窓からの音がこれほど小さいとは、トリプル窓の思わぬ効用でした。

FIX窓最強説

どうしても開かなければいけない窓がいくつかありますが、それ以外はすべてFIX窓にしたほうがいいんじゃないかと思います。実際、我が家の窓は20枚のうち開く窓が半分以下の8枚です。過半数をFIXにしたのには訳があります。以前住んでいた家でサッシの掃除にひどく苦労したからです。特に引き違い窓は、レールなど構造が複雑なため、隅のほうまでキレイにするにはかなりの時間が取られました。そして意外と開けない窓もあるなあと思っていましたので、今度の家は思い切ってFIXを多用することにしました。開く窓はすべて縦滑り出し窓と上げ下げ窓です。引き違い窓はありません。
さて、サッシの掃除をしたくないという理由で多用したFIX窓ですが断熱と防音の両面でほとんど滑り出し窓と差がないように思います。その面では、掃除しなくて良い、というメリットしかありません。滑り出し窓も上げ下げ窓も開けなければ四辺がゴムパッキンで密着するため、掃除しなくても良いので、窓を開けなければ掃除の手間も一緒です。
しかし、実際に家の中から、FIX窓を並べた面を見るとサッシが細いことにびっくりします。いわゆる狭額です。外からだとそれほど違いを感じない、FIXと滑り出し窓でも、中から見たら枠がひとつ内側に入るだけですが、解放感が相当違います。滑り出し窓にはレバーがあるのも、見た目の大きな違いですね。

上げ下げ窓のメリットデメリット

上げ下げ窓は、枠が水平に一本入るので、デザイン上ではFIXと比べられません。気密性は滑り出し窓よりはやや劣ります。ゴムパッキンの量が増えることで滑り出し窓よりも断熱性もやや劣るでしょう。その差は体感できるほどかと言われれば、よくわからない程度ですということになりますが。
しかし上げ下げ窓には大きなメリットがありまして、網戸を外側に付けることができるのです。外観の美観とバーターになりますが、我が家では事情により外気直接窓から取り入れる換気をしなければいけないため、上げ下げ窓を設置しました。なお排気については強制排気を備えています。縦滑り出し窓を換気のために使うことはありません。滑り出し窓は構造上、網戸が内側に設置されるため、虫のいる時期、特に夜間などは窓を開けて網戸を閉めるまでの間に虫が入ってきてしまいます。
上げ下げ窓はその心配がなく、一年中いつでも虫の心配なく窓を開けることができるため、(諸事情による)換気のため、採用しています。

結局、窓はどうしたらいいのだろうか

以上のことを踏まえて、窓の種類について優先順位はこのような感じになるかと思います。

(最優先)樹脂トリプルガラス不活性ガス封入
日本のメーカーであればYKK、LIXIL(旧トステム)、三協、エクセルシャノンでしょう。その中でもやはりYKKが一歩抜きんでいるかと思います。LIXILも性能的には追いついてきているでしょうか。バリエーションの少ない三協と、開発力でやや遅れを取るエクセルシャノンという図式です。
どのメーカーを選ぶとしても、樹脂サッシ、トリプルガラスのシリーズから選びましょう。
(次優先)基本はFIXで

FIXにできそうな窓はすべてFIXにします。換気システムは、熱交換型の24時間換気を標準とすべきでしょう。この窓は開いたほうがいいかも、くらいの動機であればそこはFIXにしたほうがいいでしょう。ただし、たとえば匂いを発するものを扱う趣味などで一時的に大量の換気をしなければいけないときに、24時間換気では間に合わないことがあります。そういう場合には窓を開けて換気しなければいけませんので、開く窓を設置する必要があります。
(できれば優先)最小限の滑り出しか上げ下げ窓に。引き違いは不採用
開く窓は、滑り出し窓または上げ下げ窓にする。引き違い窓はできるだけ採用しない、できれば引き違い窓は使わないほうが良いです。よく「大型家具や家電の搬入に」と掃き出し窓を設置すると聞きますが、一般的にマンションはドアからしか搬入できませんが、家庭で使うほとんどのものはドアからの搬入が可能になっています。そうでないとマンションで使えませんから。むしろ戸建てで搬入のネックになるのはたいていの場合、階段ですから、設計段階で階段だけケアできていれば、大型家具などの搬入についてはドアからと考えましょう。引き違い窓、掃き出し窓はこの際、不採用でいいでしょう。

窓は年々性能が上がっていますので最新型の最上級グレードを

枯れた技術のように思えて、窓はまだまだ進化の余地があるようです。どのメーカーも、モデルチェンジのたびに断熱や防音、長寿命など性能を上げてきています。家は建ててからウン十年と住み続けますが、そのあいだにサッシを入れ替えるということは稀だと思います。これから家を建てるなら、どのメーカーにしても最新型の最上級グレードを選び、ウン十年先も戦える窓で暮らしましょう。

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