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工イリアソ 口厶丿レス 其の弐

ロムルスに関して思ったことをもうちょっとだけ。
この映画を観た時に、監督本人の世界観が全く感じられなかった。これは前に書いた、「リスペクトのしすぎで監督が冒険していない」ということとは少し違っていて、映画の中にどうしても滲み出て来てしまう監督の世界観というか、アートスタイルが全然出てこないのだ。
特にSF映画において、その世界の小物や宇宙船といったガジェットのビジュアルやデザインワークスというのはどうやったってクリエイターの色が出てしまうものだ。あの全てにおいて淡白なノーランですら、インターステラーの宇宙船やダークナイトのバットモービルには彼しか出しえない色があった。あの超そっけない、かっこよさよりも機能性重視を思わせる形状のやつである。
しかしロムルスに関してはそういったものが全然見受けられない。宇宙船やその内部の造形、ゼノモーフに至るまで、淡白すぎるくらいに個性がない。
これってつまり、「この監督の中に確固としたSF的な世界観が存在しないんじゃないか」と思うわけだ。
俺がブロムカンプに監督を望むのは、彼がそういった世界観をキッチリと持っている人間だからだ。彼ならエイリアンというフランチャイズの中でも自分の色を出してくれるという信頼がある。それは彼のフィルモグラフィーを見ればわかるはずだ。

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