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哲学系と心理科学系の感情論

 感情を考える学問分野としては、哲学系と心理科学系の2方向が存在していると言えるだろう。
 哲学系で考えるとは、基本的には、特に分析哲学的に「感情」という概念を磨き上げるということである。直感的に把握している「感情」言葉には、その含意を詳細に検討すると、矛盾する部分が多く含まれている。そういった矛盾を発見し、無矛盾の概念体系を彫琢していくのが、哲学系の感情論となる。その結果、従来の感情というものに帰属していた属性が大きく見直されることもある。というよりも、それが哲学系感情論の進歩ということ。
 心理科学系的に考えるとは、いわば、哲学的に定義された「感情」概念に対し、操作的な定義を与えて、観測可能なものにするということになる。これによって、反証可能な命題を作り出せることになるし、科学哲学でいうプログラムのコアとなる因果法則やモデルを定式することになる。