見出し画像

118 - 感覚? 感動?

自分を見ろ
皮肉屋を気取っても どこかでシステムを信じてる
(『マネーショート』)

118(*117はこちら

Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 上手くいかなくて結局「太陽フレアか洪水か」みたいになってきた。

Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): まあ……どうなんだろうな。

C: それも景気良くて面白い話ではあるけど。

JC: ああそう?

C: 頭で考えてみるのはね。それを望むというのはないけど。趣味が悪い。

JC: 望まない。望むとしたら……シンプルだよね、ミンナが気付くこと。「気づく」ってもう古い言葉になりつつあるけど、気付かないとマズいというのはあるからね。「分かる」でいいけどね。ぼんやりでも。なんか変だな? おかしくない? でもいいよ。

C: ふん。

JC: それくらいしか無い気がする。

C: <気づくことに気づく?>(『島』ハクスリー)

JC: うん。NHKで<多死時代>とか言うなら、「なに、多死時代って?」と思うだけでいい。原因までは考えろとは言わない。それは言わない。「変な言葉だし、そんな時代いきなり来るのかなぁ?」くらいで、終わりでいいから……。

C: 「ま、高齢化だし」で終わるんじゃないの?

JC: それでいい、別に。そのまま一人で寝られるならいい。もし仮に自分自身が体調悪いなと思ってたら絶対そうはいかない。

C: うぅん。

JC: そこの先、その答えや方法なんて絶対に提案出来ないし、したって無駄だから。自分だって知らない事だらけ。
 
C: わたし自身が一番知らないと思って生きてる。

JC: うん、何も知らない。だから考える……その「考える」が始まった人に偶然出会う事は、めちゃくちゃ楽しい事だよ。嬉しい。そういう人と会うと、あれこれ考えるのも悪くないなぁと思う。しんどいけどね。出来ればやめたいと思うんだけど。ははは。

C: とことん優しいね、今日は。はははは。

JC: いやいやいや。

C: なんでそんな優しいの? まなざしが。

JC: 本来はあんまり無かったと思うんだけどね。

C: この3年で芽生えた?

JC: そういう事ね、というのはあったよね。シンプルに言えば、それまでは「何で分かんないの?」という事だよね。それからすれば今は増えた。良くも悪くもだけど。これだけのリスクを張らないと分からないんですか、という苛立ちはあるけど、それは仕方ない。自分に腹を立てても、周りに腹を立てても仕方ない。とにかく「始めた」わけだから。怒りは昔からずっとピークのままだからね。

C: そう。

JC: だから言ったのに、というくらいの事で。まあ多少ボロが出てくれるのを待ってるくらいしか……ボロだらけになっていてもミンナ気付かない。どのジャンルから見ても綻びは見えるはずだけど。

C: うん。

JC: 気付く事だよね……。まあ、散歩をしててもさ、考えるのをやめるために歩いてるようなところはある。出来るだけ音に集中したり、視覚に集中したり。呼吸に集中したり、歩き方を考えたり、とか。でも段々忘れてまた考えてるわけだよ。昨日もおんなじ所でおんなじ事考えたなと思って笑えるんだよね。じゃあそれが気になってるんだな、と諦めるしかない。

C: 気付くには感覚が大事じゃない?

JC: 感覚ね。あまりにも内的すぎて……。

C: 感覚を奪われているでしょう。世の中には正解がある、と多くの人が思ってるからさ。例えば「泣ける映画」とか。感覚の前に、既に用意された感情がある。それが「正解」。

JC: なるほどね。

C: 気付くって、それは感覚を信頼する所からなのじゃないかね、と思ったりするけどね。今の話を聞いてたら。

JC: うん。

C: <多死社会>にしてもだよ、それだって正解が提示される。3年間消毒しすぎて、免疫が弱って、それに人口が多い世代が高齢化するから……とか、見てなくたってどうせそんな感じでしょう。だからそうなのか、になっちゃう。

JC: じゃあ消毒を疑えよ! ははは。

C: 感覚を奪われてるからね。それなら、例えば手荒れの感覚を信頼してみるとか。「正解」に頼らずに。

JC: うん。

C: 学校教育で正解に慣らされてるから。掘っちゃだめ、疑っちゃだめって。歴史なんてモロにそうじゃん。

JC: うん。

C: 変なトコいっぱいある。歴史を疑うという感覚……いきなりそれは難しくても、やっぱり感覚だよね。内的じゃなくてもいい。皮膚でいい。

JC: 感動しようという能力は、感動「しよう、しよう」としていても出来ない不思議さがある。そういうものって探してもやって来ない不思議さがあって……無理やり自分を作ろうとすると、常にモードが用意されている世の中に今出来てるから。全ジャンルを網羅されてるのね。一つのモードであって、それは社会のシステムなんだ、という事をまず理解する必要がある。そういう中で「自分」とは、社会とは何ぞや、というのを考える。それは時代性もあるし、その時代を生きてる自分、時代から離脱している自分もいる。その3つがバランス良く……デコボコはするけどね。その3つを大事にしてると自然と感動みたいなのがやって来て、今日ラッキーって。

C: ふん。

JC: ぼんやりでいいから、なんとなく思えると思うのね。

C: 感動すら正解があるからさ。

JC: そうなの?

C: 海の向こうのホームランとか。

JC: あぁ。ほんとにしてるの?

C: 感動したことにしてる。

JC: うん。

C: 感動はすごいレベルの高い話だから、それ。

JC: ははははは! そうなの。

C: 感覚、感覚。感動は先の話だって。

JC: 感動なしに感覚養えませんって。

C: 背中かゆいな、とか。

JC: そう。

C: 太陽の日差し強いな、とか。

JC: うぅん。

C: で、マスクするでしょう?

JC: うぅん……。

C: その状態で自転車乗るでしょう?

JC: ヘルメット被ってね。

C: そうそう。そこだって。感覚すっ飛んでるじゃん。

JC: ヘルメット被って歩いてる人いた。あの感覚鋭いなぁ。はははは。正解。それですよ、向かってる先は。完璧だなぁ、未来に手が掛かってる人……。優しい・優しくないで言うと、そういう人を救う感覚は全くないからね。

C: なぜかそこがあるんだよね、わたしは。

JC: ない。

C: やっぱり解決するのは感覚だよ。日差しが強いな、息苦しいからマスクやめよ、って。感覚ならね?

JC: うん。

C: だけど正解があると思うと、「日差し強いな、でもウイルスが怖いからマスクしよう or 人にうつしたらいけないし or 人の目が気になるから……」くらいの。

JC: うん。

C: 学校で叩き込まれた正解でこうなっちゃってるんだから、感覚で一回やってみたらどうですか? 息出来て欲しいな、という謎の心配の気持ちがまだある。

JC: あぁぁ。まあ……3年マスク着け続けてて、日差しが熱くて取ったら気持ち良い、喜びを感じる……という感覚をもう一回取り戻すのは、かなり大変だと思うよ。他にも修行が必要なんじゃない、というくらい。だから感覚って……難しいから、感動でいいんじゃない? 「取りたい~~~!」って思うシチュエーションに自分を置く。

C: 情動みたいな。

JC: うん。

C: 上手にちょっと浮かして息してるって。下から。

JC: 感動しないのかな。

C: してるのかな。

JC: ……どっちも無理! ははははは。

C: でしょう?

JC: うん。

つづく


2023年6月28日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
#doubles_studio_talkでトーク部分を一覧表示できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?