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トップの現場で何かを感じろ!!

 先日、指導している少年サッカースクール「所沢サッカーボーイズ」の子供たちをJリーグ観戦に連れて行きました。試合はFC東京対ヴィッセル神戸、味の素スタジアム。

以前にも書いたように、もともとこのスクールは「サッカーをうまくなりたい」という気持ちよりも「友達と楽しく遊びたい」という気持ちが強い子供が多く、向上心という点ではもどかしさを感じる事も多いのですが、話を聞いてみるとプロのサッカーはほとんど観たことがない、という子が多かったのが今回の企画の発端。保護者LINEグループで「この動画を見せてあげて下さい」と流しても、実際には半分も見せてもらっていないのが現実のようで、実際に映像を見た子と見ていない子でどんどんプレーに差が出ていくのが分かったので、これは何とかしなければと思いました。

 そこで「何かをやるならその世界のトップを見て欲しい」という僕の考えのもと「まずはJリーグを見てもらおう」と考えました。本物のサッカーはどういうものか、プロの技術、そしてスタジアムに集まる観衆の熱気を感じてもらって、「僕たちがやっているサッカーはこれだけの人々を熱狂させる事が出来るんだ」と少しでも感じてくれたら、と思ったのです。

 活動地域から考えて行けるのはさいたまスタジアムか味の素スタジアム。浦和レッズサポーターの熱気も見せておきたいところですが、首位を走るFC東京ならば首位のうえ久保建英選手がおり、さらに相手がヴィッセル神戸ならビジャ、イニエスタ、ポドルスキが見られる!という事でその日参加出来る子供のアンケートと取り、団体チケット30枚を申し込みました。
 さらにサッカー観戦についての知識や両チームの選手紹介、見どころを作成して練習の際に配布して準備万端。

 ところが、日が近づくにつれいろいろと不穏な空気になっていきます。

 まずポドルスキはドイツに帰国して戻ってこない、イニエスタは直前まで4試合先発していない、久保君は日本代表に招集されて不出場確定、いやそれどころかレアル・マドリード移籍発表、さらには降水確率100%という最悪な環境が予想され、子供たちが「サッカーつまらない、もう行きたくない」となるんじゃないかと正直不安しかありませんでした。

 当日は自由席、という事で席取りチームと後発組に分かれることにしました。サッカー観戦に慣れている人が先に行って開門を待って席を確保し、保護者の方々には後から来て頂くという手はず。
 結果的にはバックスタンド、ほぼ正面から見下ろすことが出来るうえ、通路側でトイレにもすぐ行ける最高の席を確保する事が出来ました。ここまでくればあとは選手たちの仕事。私がビールを飲みながら後発組の到着を待っていたら、そこになんとイニエスタもビジャもスタメンで出場するという情報が飛び込んできました。これだけでもうテンションが上がります。

 私は子供たちの反応を見る為に団体の一番上に陣取りました。選手が入ってきて練習を開始した時はサポーターの勢いに驚いていた子供たちでしたが、試合開始のセレモニーと同時にピッチに釘付けになり、シュートシーンでは叫び声をあげて一喜一憂。
 子供達には事前に「FC東京の応援をすること、あまり神戸のゴールに派手に喜ばないこと」と伝えてあったので、イニエスタのゴールが生まれたときは素直に「あ~あ」と落胆していましたが、この時はむしろ保護者のほうが喜びを隠すのに必死でした。何しろイニエスタが見られただけでなく、彼の今季初ゴールを見られたのですから、これは貴重です。試合はこのまま1-0でヴィッセル神戸が勝利。

 試合終了と同時にお父さんと来ていた子供たちは解散、スタジアムに慣れていないお母さんたちを引率しながら帰宅する事になりました。
 ところがこの日はチケット完売だけあってスタジアムから出るだけでも一苦労。結局帰宅は23時近くになり、我が家の子供たちは即熟睡でした。

 シャワーを浴びてからスマホを見たら、多くの保護者の皆さんから「楽しかったらしくてまた行きたいと言っている」との連絡が入っていて一安心。これをきっかけにテレビでもサッカーを観てくれるようになったら嬉しいですし、この日の体験によって練習態度や姿勢が変わってくれたらなお良いのですが、まずは種を蒔く事には成功したと言えそうです。

 この日試合を見ている子供たちの眼はキラキラしてましたし、やはりプロの緊張感を目の当たりにすることって大切なんですよね。この次の練習、子供たちは明らかに変わりました。練習に臨む姿勢、試合でのプレーの一つ一つに影響を受けているのが見てとれました。

 僕は吹奏楽部の指導にも行きますが、未だに「練習があるから演奏会には行かせられない」なんて時代錯誤な事を言う顧問や指導者がいると呆れかえり、情けなくなり、生徒が可哀そうになってしまいます。「10回の合奏より1度のプロの演奏会」と常日頃から訴えていますが、現場で学ぶもの以上の体験なんて絶対にありません。そんな想いを強くした一日でした。

所沢サッカーボーイズ
  

 

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