道徳の二つの方向性

道徳とは何かを考える時に目的という観点から見ると、大きく分けて、二つの方向性が存在します。

・道徳は人生の指針となるもの

・道徳は社会を円滑に進めていくための物

今日は、この二つについて考えていきます。

・道徳とは人生の指針

 この考え方では、いわゆる善く生きるということを目標に置いています。つまり、幸福な人生を生きていくためにはどのように生きれば善いかという視点から道徳を考えていこうとする方向性です。「どのように」というところに焦点が当たっているため、行動面に着目することが多いです。そして、研究者というよりは、実践家、起業家と言われる人たちに多いように感じます。例えば、稲盛和夫さんの「忘己利他」(もう懲りたとかけられています。面白いですね。)船井幸雄さんの「衣・食・住・友・学・人・健」といった考え方などもここに当てはまると思います。「ぐちゃぐちゃ言ってんとやりなはれや。」というのが根底的な考えたです。往々にして個人的な経験に基づいています。また、価値観の変化が起きにくいです。

多く共通してみられる点として、利他の考え方を強調することが多いです。人によっては「三方よし(自分よし、他人よし、世間よし)」を掲げる人もいます。

ビジネスの現場で厳しい競争に晒されながらも完全に独り勝ちをしてしまってはいずれ衰退が始まったり、自分の企業に無理があるとそのしわ寄せが他の企業に行ったりといった中から生まれてきた考え方なのかなと感じます。

・道徳とは社会を円滑に進めていく為のもの

 一方でこちら側は、道徳がどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目標としています。そのため、道徳を客観的に捉えようと試みます。どちらかというと科学者が多い立場です。自分がどう生きるかよりもどうなっているのかに焦点が当てられます。そして、客観的に捉えているが故に道徳観そのものの問い直しが容易です。また、様々な切り口から道徳というものを分析しています。

 コールバーグ、ジョン・ロールズ、マイケル・サンデル等の大学教授はどうなっているか、どうあるべきかという処から、実際問題としてどうしていくのかまで考えていった人たちと言えそうです。

二つの方向性は、どちらかが正解で、どちらかが間違いというものではありません。ただ、自分はどちらにより重きを置いているのかということは考えておいてもよさそうです。

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