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対詩ライブ:谷川さんと覚さん

本年も、谷川俊太郎さん詣ででライブ始めです。ありがたやー、ありがたやー。

今年はちょっと早めにチケットゲットしたので、2列目で俊太郎さん、覚和歌子さんオーラを浴びることができました。これ以上のお年玉があろうかよ。

対詩とは、連詩や連歌の二人版で、ルールは、前の人の一編の何かを受けて詩作すること。後戻りはしないこと(前に使った言葉を避ける、前のイメージに引きずられない、等々)。毎回2時間ちょっとで、12編が作られます。

お二人は各々パソコンの前に座っており、そのパソコン画面がスクリーンに投影されるので、詩が生まれる様子がリアルタイムで目撃できます。ちなみにこのシステムは世界で唯一の発明だそうです。特許取ったらいいのに、という覚さんに、他にやる人いないから、特許とるだけ無駄、と俊太郎さんが見事に瞬殺なさっておりましたw 

今回で8回目ですが、毎回少しずつルールが変わったり、枠が決まったりします。12編を時間で区切ったり(一人目が12時からの連想で始め、次の人が13時にまつわる詩、とかね)、なんとなく一人4行くらいで進めたこともありました。

詩作していない方の詩人はお客さんからの質問を受ける、なんていうゴージャスなやり方も初期にはありましたが、それはここ1年で無くなりました。よって、詩作が始まると、お客さんは黙ってお二人が紡ぐ言葉がスクリーンに映し出されるのを見守るばかり。

でも、スクリーンには、お二人の試行錯誤の様子がリアルタイムで映し出されてぞわぞわします。俊太郎さんの4、5行を見て、まずはじっとステージ下手側の斜め上をじーーーーっと見てから言葉が降りてくるのを手繰りよせようとする覚さん。比較的さらさらさらさらと直感で書き出して、ポンっと出てきた言葉をまるで初めて見たかのように見直しながら、整えていく俊太郎さん。(今回初めて長考する俊太郎さんも拝見して、ドキドキしました)

だいたいお二人とも数行書いてはバトンタッチをしていくのですが、なんとか出てきた数行をいともあっさりデリートし、その後に出てきた言葉の羅列は全然違う世界になったりするのも面白い。前のが残っていたら、次の人が紡ぐ世界も当然違うわけですから、パラレルワールドの分岐点が意図的に、能動的に消された瞬間が視覚化されて立ち現れるのです。すごいよね。

ちょっとした添削で世界ががらりと変わるのも面白い。

例えば、

     おとなしい娘の作品が

     もう棚に並んでいる

と書かれていたものが、

     おとなしい娘の作品が

     もう何年も棚に並んでいる

ああ、こんな風に物語の世界は肉付けられ、色を添えられ、息吹き始めるんだ。

最後に、お二人が自分の書いた部分を読み上げます。覚さんの声は、身体に直接訴える響き。言葉以上に、声で何かを伝えている。言葉は発するものである、という意思を感じる読み方です。俊太郎さんは、飄々と、淡々とした語り口。対照的っちゃ対照的だけれど、交わり合って違和感はない。巫女さんと神様なんだなあ、と感じるのです。

世にも珍しい対詩ライブ。次回は八ヶ岳だそうです♪


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