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351/366 ひとりしばい 『ラルスコット・ギグの動物園』 佐藤拓也編

... はい。コンプしちゃいましたね、3部作。もちろん我が選択に一片の悔いなし!です

いつか父ちゃんみたいに勇敢な、自分よりも大きな動物にだって堂々と渡り合える虎になる日を夢見てる、臆病者の虎のガラ

ガラはある日、ラルスコット・ギグの動物園の猛獣使いチョズに拉致され、動物園のテントで開催されるショーに向けての3年間の修行を始める。

酔っ払いのチョズは、精一杯の愛を込めてガラを訓練する。一緒に夢を紡いでいく。

ガラも同じ夢を見るようになる。この技を決められたら、お客さんに愛される。何より、チョズに撫でて貰える、かも知れない。打ち上げのソーセージ以上に欲しいのは、チョズの愛。

そしてデビューの日。ガラは華々しくデビューする。火の輪くぐりも成功させて、決めポーズだってバッチリだ。

客席にいた男の子は、自分と一緒に雄叫びを上げていた。

鮮烈なデビュー後、その舞台をうっとりと思い返すガラ。だがその瞬間、敵国からの空襲が始まる。

うわああああああああ... このタイミングで3作共通の、あの空襲!

燃え上がる炎。彼の檻を壊し、逃がしてやる狂った象のクレバオーヌ。(交差1!)

自由の身になったガラを、敵兵の銃口が狙う。再び恐怖に襲われるガラ。それを庇うチョズ。庇ってくれたチョズを放置して、森に逃げてしまうガラ。

その森で、同じく動物園から逃げてきたこまっしゃくれた小リスのモルと遭遇する(交差2!)

- 人間は強いから戦争するのか?
- ううん。弱いから、戦争するんじゃないかな

人間は怖い。人間が持っている先端から煙を上げている鉄の棒も怖い。でも最後、ガラは思い出す。動物ショーでのチョズの前口上を。ガラは強い。自分よりも大きな動物にだって怯まない。逃げない。僕は逃げない。僕は強いんだから。そう自分に言い聞かせて、ガラは生まれて初めての、魂の咆哮を上げる。自分のためなんかではない。大切なチョズを守るために。

ラスト、ガラの咆哮に... 涙腺崩壊。

其々の物語の交錯具合が見事で、胸熱で、もう一度モルの物語から2回し目を見直さねばにならなくなった。

ってそうしたら当然クレバオーヌもまた見るよね?そうだよね?だって、リスを見ている時の虎の気持ちと、虎を見ているリスの気持ちが同じなわけない。お互い、本心は見えない。でも、なんとか繋がろうとする。

それは日常でも同じこと。相手の心の中は見えないものだから、私たちは何も当たり前だと思ってはならない。

ラルスコットギグの動物たちは、愛に溢れています。

このアナウンスの正体が、ようやく分かりました。

ヒトの記憶と、コトの記録。

今日もモノガタリは、紡がれていく。すぐそこで。

佐藤拓也さんの虎のガラ

下野紘さんの象のクレバオーヌ

福圓美里さんのリスのモル↑ (間に入れられなくなった...orz)

全てが最高のモノガタリです。

明日も良い日に。





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