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【(続)物語とは】 宝塚歌劇団星組公演 『BIG FISH (ビッグ・フィッシュ)』

俺が年老いたら、物語をお前が話せ


日々がどんなに凡庸に思えても、物語はどこにでも転がっている。それを面白がって生きることができれば、どんな人生も輝いて見える。

ありのままの毎日の事実だけを述べていても、無味乾燥なだけ。だったら多少なりとも物語の力を借りて、明日遭遇するかもしれないドラゴンについて、ワクワクしながら夢を見る。

今、大した能力もなく、凡庸な自分はどう生きればいいのかについて、迷子になっている。

そんな私に、凡庸でもいい、それを精一杯生きる。凡庸ながらにできることをする。誰かの為に。それを続けていけば、いつか、人生が終わった後も、何かを残すことができる。

そんな言葉をかけて貰ったような気がした。

俺の人生は、ちっぽけなこと分かっていた。
だから少しでも大きく俺を語り継いでくれたら嬉しい

How It Ends (終わり方)を歌い上げる礼真琴さんに涙腺崩壊。全てのちっぽけな「俺」を言祝いでくれた、気がした。ここに向かって全てのシーンを紡いできたことが伝わってくる。それくらいに魂が込められていた。

ジェニー・ヒルのシーンも素敵だった。映画版とは違うけれど、ちゃんとウィルとエドワードを繋げてくれていた。

魔女さんも素敵。最後に登場した時の、確かにこんな魔女みの深い人いるいる、という説得力があった。

父と子という男同士の物語を、女性が演じている。そして父子を陰で応援している奥さんたちも、女性が演じている。理想の家族の形を宝塚歌劇団が立ち上がらせてくれている。贅沢な時間だった。

物語は、裏切らないのだ。

たまたまだけれど、先日観た劇団おぼんろの「聖ダジュメリ曲芸団」とは真逆なフレーズ。でも、おぼんろさんが言いたいことも、結局これ。逆説で伝えただけなのだと思う。


明日も良い日に。



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