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旅立ち
「じゃね」
あっさりと、息子は出発ゲートをくぐって行った。
途立つ側はいい。目の前に広がるのは、無限の可能性だけだ。でも、見送る側に残されるのは、背中だけ。それすらも、ごったがえす人の波にあっという間に飲まれて消えた。
それでもなお、あなたの未来が祝福に包まれていることを願わずにいられない。つまづくことも、思い通りにいかないことも、裏切られることも、あると思う。でもね、あなたは一人じゃない。前を見ることに疲れてしまったら、俯いていい。俯いたままでいいから、視線を少し横にずらしてみるといい。そこには多分、他の人の足先があるはずだ。
とはいえ、横も見たくない、目をきゅっとつむっていたい日もあるかも知れない。
そうしたら、肩越しに振り向いて欲しい。わたしはその視線の先に、きっといる。あなたをいつでも受け止める。
これからはもう、わたしは積極的には介入しない。
あなたが帰ってこられる場所になる。だから、わたしの見えない場所に行くといい。
頑張っていらっしゃい。幸多かれ。
言葉は言霊!あなたのサポートのおかげで、明日もコトバを紡いでいけます!明日も良い日に。どうぞよしなに。