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384/731 【月にのぼる者】 大河ドラマ 「麒麟がくる」 第41話

力ある者は皆、あの月へ登ろうとする。だが下界へ帰ってくるものは誰もおらぬ。

天にそびえる安土のお城でどんどん孤独を深め、厭世的になっていく信長さま。だだっ広い広間にぽつねん、と佇む様は、まさしく月に囚われたまま帰ってこられない桂男のようだった。

美しきものに近づき、そこから何かを得ようとしてはならぬ。

これを戒めとして過ごす地上にいる天上人の帝との対比たるや。

もはや上しか見ない信長を反面教師とするかのように、地べたを這うように策を練り、2枚どころか5、6枚はありそうな舌を巧みに使い分け、邪魔するものをどんどん排除していく秀吉。

貧乏百姓のいない世を作るためなら、手段は一切選ばない。誰も信用なぞしない。その意味で、今の信長と秀吉の孤独感は同じかも知れないけれど、後の秀吉の救いは、おねちゃんが離れずにいてくれたことなのかも知れない。

挨拶にきた秀吉に堂々と平蜘蛛を見せ(OIEURIOOOOOOOみたいな変な声出た)、いつになくキツく目の前の秀吉にお灸をすえ、テレビの前の視聴者にはドーンとでっかいフラグを立てた挙句、その平蜘蛛をそのまま安土城へ抱えていくとか、消えた平蜘蛛の有効活用っぷりが半端ない

どこかで寝ている平蜘蛛さん、きっと消滅冥利に尽きているに違いない。

誇りを失わぬ者
志高き者
心美しき者であるべきと

松永弾正の遺言をそのまま丸っと信長に託す光秀。ただ一つの嘘を認め、その上で人の上に立つ者の覚悟を託す。

一瞬だけ正気に戻る信長さま。そのままでいて下さるかと一瞬期待したけれど... そうは問屋が下りませぬ。

しかも、弾正魔道士の呪術はさらに深まり、その平蜘蛛を金に換えるとまで信長に言わせしめる。うわ、決定打やん。

光秀に託したところが時限爆弾!と思っていたらまだあったんかい!時差爆発するタイムラプス爆弾やったんかーい!

この後、信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ。

あっちからもこっちからも呪いを浴び続ける光秀さん。もっと適当な人だったら良かったろうに、生真面目さが仇となっている。

戦国時代で名を馳せた人は殆どが傾奇者の類だったのには訳があるってことなのかな。そうでないと、あちこちへの忠義でがんじがらめになってしまい、結果、大成しないのか... orz

信長を見届けるよう申し付ける帝を見上げる光秀の視界に入る月。光秀もまた、月に近づきすぎて帰ってこられなくなってしまった人なのか。

情報量がパンパンで書き切れない... 

菊丸とか、たまちゃん腰入れとか、足利将軍とか、あれこれあったはずだけれど、今私の脳裏に焼きついているのは、月光を浴びて佇む帝のヘーゼル色の瞳だけ。

この帝に見染められちゃったら、仕方ないよねえ... 信長と相打ち覚悟で本能寺だったんだねえ...

先月は、これ本当に本能寺まで辿り着くの?と思っていたけれど、ここへきての加速度を鑑みるに、うん、これはむしろ早めに着くね、と思えた回でありました。

明日も良い日に。



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