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【尊いとは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第25回

長い月日が流れましたので

道長とまひろの恋が終わり、「源氏物語」への布石が色々登場した回でした。

「お宝を使う」ことを「よおくよおくお考えください」と道長に助言する晴明。道長の娘ちゃんが内裏に入らんことには始まらない。布石1。

まひろへの求婚に対する正式な返事が来る前に、道長という外堀をとっとと埋めてしまう宣孝の策士ぶり。しかも道長に報告したことをまひろにも知らせてあっという間に内堀も埋める。こんなやり方を、嫌味なくさらりとできるのはもはや天賦の才としか言いようがありません。布石2。

しかも、ずっと近くにいた乙丸や、いとは、様々な形で禊を済ませて「いい人」を見つけている。乙丸、長年抱えていた懺悔を口に出すことで、ネクストステージに進み、お相手を見つけられたんだねえ… 幸せになっておくれ。しかも海女!

しかも、越前の紙漉きまで紹介されて!この紙に書くんだよね!源氏物語をさ!!!布石3。

ところでその越前和紙!越前和紙と言えば、アダチ版画さんですよ!

アダチ版画さんの版画、とても素敵なのです。機会があったら是非見てみてください。摺師さんの実演イベントも定期的に行われておりまする。版画を刷る音はぜひ多くの人に体験して欲しい。出来上がった版画を見ることも楽しいですが、出来上がる過程を見ると、作品への眼差しが多層的になると思うのです。

尊いのでございます

本来の意味での「尊い」と、今使われている「尊い」があっちでもこっちでも共存していて声が出ましたし、宮中での駆け引きがこれでもか!と描かれていて、もはやどこから書いていいか分からない。

・「かいかぶりかどうか、お試しくださいませ」まで言って、すっと引っ込む世渡り上手な隆家。

・「それは中宮様の為に書いたものでございますれば」と控え目に辞去する清少納言を制して、中宮サロンセカンドシーズンに向けて(そして何より自分の出世の為に)さっさと動く伊周。それを見抜いていても何も言えない定子様。

・今も変わらず、「べき」「べし」論で(今回は「非難すべし」)、政の為に動いている実資。「潔癖」なのはまひろだけではありませぬ。・

・頑張る行成。がんばれ。

・辞表で諌めようとする道長。そうはさせない天皇。

ずっと動き続けた40分でしたが、その中身を白楽天でサンドイッチしている構成もすげー。

まずは、清少納言と伊周の連歌。

空寒み 花にまがえて ちる雪に
少し春ある 心地こそすれ
【三 時 雲 冷 多 飛 雪(三時 雲冷ややかにして多く雪を飛ばし
二 月 山 寒 少 有 春  (二月山寒うして少しく春あり)】

とても詩的な「南奏の雪」に対し、まひろの読んでいた新楽府(シンガフ)は、

「君の門は九重閟(きゅうちょうと)ず君の耳はただ聞こゆ堂上の言 君の眼は見えず門前の事」

やはり政治的な内容。同じ人がこれだけ趣の異なる文書を書いているのも凄い。そして両方が1話の中にすんなり馴染んでいるのも凄い。教養が足らなくて、調べ物が多い…

道長の「は」っていう声のトーンが最高に好きなんだけど、そういう教養全く関係ないコメントが後回しになってしまうくらい、毎度毎度情報量が多すぎる。

明日も良い日に。



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