ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート
劇場に入った瞬間、舞台上に設置された巨大な鉄骨のジャングルジムが目に入る。建設現場の複数階層型の足場にも見える。足場のあちこちにプラットフォームが設置され、オーケストラの方々が、その上にバラバラにスタンバイしている。
下手1階部分にギター、上部に金管や木管楽器。上手側の下の方のプラットフォームにドラムセットや指揮台。そして上手の一番上の段には、下々の民全てを見下ろすように、玉座が鎮座ましている。
コンクリートジャングルにマイナートーンのギターイントロソロが鳴り響く。ピンクフロイドかくや!みたいな変拍子のテーマに続いて繰り広げられるのが、イエスキリストの最後の日々を綴ったロックオペラ!かっこいい。かっこよすぎる。
こんな楽曲を約50年前に書いたなんて、アンドリュー・ロイド=ウェバーとティム・ライス、天才すぎて涙が出る。カップスターやらホテルカリフォルニアやら、あれやこれやを彷彿とさせるメロディがこれでもか!と続く。なんて耳福なんでせう。
それにしても、この公演の題名がジーザス・クライスト=スーパースターin コンサートって、ずるい。全然コンサートじゃないじゃない!!!(褒めてます)
コンクリートジャングルを縦横無尽に移動する使徒やらエルサレムの人々やら、司祭やら、ローマ帝国の人々やらの重層構造の迫力たるや。アンサンブルの方々も大変だ。今自分どっちの立場になってるんだっけ、って混乱しそう(笑)
そしてその重層構造を成す社会のてっぺんの玉座にじーーーーーっと座っておられる
ヘロデ王@成河さん
好き。好きすぎて困る。
ずーーーーーーーーーーっと座ってるだけなのに、時折、エルサレムの民が歌い踊る楽曲にのせ、やる気レスな手拍子を入れてみたり、民衆の喝采を浴びるジーザスを、気のないふりして気にしてみたり、変なタイミングでペットボトルのお水ごくごくしてみたりw
挙げ句の果てには居眠りしてみたりw
闇に沈んでいる時間も長いけれど、ほんのりと光を浴びている瞬間は、ついついそちらに目がいってしまうのです。
そしてずーーーーーーーーっと座っている間に貯めに貯めまくったエネルギーの全てを吐き出すようなソロ!!!!
場の空気がガラリと変わる。ああ、空気を変えるってこういうことだ、と改めて思い知りました。マジ天才。
2幕頭の、鉄骨ジャングルの下3分の1を染める冷たい青の照明も好き。ああ、ゲッセマネって、氷の城だったんだ。冷たい冷たい、墓場への道行きの出発点なのね。
その中で使徒らの歌が響く。間もなくあなたがたの「救世主」は、死出の旅につくよ。あなたがたが能天気にも、「死んだら福音書でも書くね」なんて歌っている間に。
悩みなんてなーんもない、人生サイコー!って思っていたら、翌日全てが音を立てて崩れ落ちるなんてこと、実際に人生では多々あると思う。現れ方は様々だけれど。
太陽の塔か、エヴァンゲリオンのリリスかっちゅー、光の十字架も印象的。まっすぐではない、少しイビツな十字架。
この世にはいつも、ほんの少しのいびつさがある。
だからいいんだろうけれど。