人里離れた温泉街で人とのご縁を見つめ直したこと
これまではこちら。
そんなこんなで到着した今夜のお宿は、入口の枝垂れ桜が目印の、界川治。
「流石に中に横付けはできないから、ここでね」
親切なおじさんに別れを告げ、門の桜の下で車を降りた私を、不思議顔でお出迎えにいらっしゃる中居さん。
「龍王峡から歩いてきたら、最後の最後で迷子になってしまって。親切な方がここまで乗せてきてくださったんですよー」
「そうでしたか。地元の方ですか?」
「そんな感じでした〜」
能天気丸出しな私をにこやかに案内してくださる中居さん。
お部屋は川側。
川のせせらぎを聞きながら、窓際の広いソファでのんびり読書。今回のお供はこちら。
巻末のエッセイ集が面白かった。原田マハさんといい、恩田陸さんといい、各々の造詣の深いアートを題材にした小説は、深掘りの切り口が無限。
そしてお夕飯。
お席はなんと夜桜席!
素直に喜びながら、先付けを酒肴にちびりちびり。
その時、気付きました。
これはお宿のお心遣いに違いない。
1人旅のお食事が寂しくないように、夜桜が一番見えるお席をご用意頂いたのではあるまいか。
何しろ、窓際ではないお席も沢山あるし、桜が見えない窓際のお席もあるのだ。
その中で、4人がけのテーブルに1人旅の私をわざわざ配置するのは、勇気のいることのはず。
ありがたい...
夜桜をアテに進む懐石料理もとても美味しく、お腹パンパン。
デザートはお部屋で頂くことにしました。
惚れてまうやろ!こんなメッセージ入れられた日にゃ。
お部屋に戻り、お風呂にもう1回入ってすぐに、死んだように眠りました。
翌朝。
参加しようと思っていた早朝の温泉体操は完全に寝ブッチし、ノロノロと朝風呂へ。
のんびりと朝食を頂き、お宿を出てからこの日も周りをプチハイキング。
まずは、猿田彦さんゆかりの神社へお詣りです。道開きの猿田彦さんの奥に広がる自然探索路は、どう見ても獣道。開けては... いなかった(笑)
眼下に広がる温泉街を眺めつつ、あちこちに咲いている桜を愛でつつ、駅へとのんびり向かいます。
と、温泉街の外れに、一軒の酒屋がありました。
こういう温泉街の酒屋には、たまに面白い地酒を売っていることがあるのです。打率4割くらい。
まだ少し時間もあるし、ちょっくら寄ってみるか...
くらいの軽い気持ちで入ってみたらば。
「昨日のお姉さんじゃないですかー!」
そう、お店のカウンターにいらしたのは、昨日途方にくれていた私を車に乗っけてくださったあのおじさん!!!!!!
店内に響き渡る、イシマルの歓喜の声。
これは何か買わないわけにはいきません。
「おじさん、この辺りのお酒を買いたいの。何かない?」
「面白さで言うなら、これかな」
と冷蔵庫から出してきたのは...
右側のやつ。どう見ても、酒蔵で詰めてきました的なやつ!
「でもこれ、要冷蔵ですよね?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。そんなに神経質になることはないんだよ、日本酒は」
豪快な一言につい笑ってしまう。
「2本だと1.5キロくらいの重さになるけど... ま、お姉さんなら大丈夫だよな。体力ありそうだし」
「そうですね、体力には自信があります」
そんなわけで、2本の750ml日本酒を担ぎ、駅までの2キロを桜や鬼怒川を眺めながらテクテク歩いたのでありました。
ちなみに川治温泉駅は無人駅。
最後の最後までハプニング続きの旅でした。
あー、楽しかった!
明日も良い日に。
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