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服の年齢制限なんてないのに

「この年齢じゃ、昔着てたような服はもう着れないよ」
って発言が苦手だったんだけど、

「あ、もうこの服着れないな」
って実感することがあって、ちょっとショックを受けた話。


昔はレースやリボンの服が好きだったのに「もうこの年じゃあね…」って言って着なくなってしまったり、年上の人がそういった格好をしていると「あの年で…」なんて後ろ指を差したり、という話をされるのが苦手だった。

いや年とか関係なく好きな服着れば良いじゃん。服にR指定とかないじゃん。年、年、って言われるたびに、自分たちは老けていくんだよって現実突きつけられてる気分になるのも嫌だったけど、何より「年をとると好きなことを我慢しなければいけなくなる」ってことを感じたくなかった。

それで、最近暑くなったじゃないですか。久しぶりに袖を通した夏服を姿見にして、思っちゃったんですよ「あ、もうこの服着れないな」

不思議なもので去年は普通に着ていて、そこから1歳しか違わないのに。しかも32→33って、微妙な1歳。いや、色々な意味で微妙なライン。それ誰が引いたのって、自分だったりするんだけど。自分が誰かに引かされたものだと思わずにはいられない忌まわしきライン。(そしてこの記事を1年後とかに読んでちょっと嫌になるんだわ)

でも仕方ない。この服を着てる自分が好きではなくなったのなら、それは「もうこの年(の自分)では似合わない」服になってしまったのだ。この年になった自分が好きと思える服を見つけるしかないのだ。

そして実は、もう着れないな、と思ったその服も、当時20代後半の私が暗い色の服ばかり好んでいたのを見かねた先輩に「若いんだからもっと明るい服着なきゃ!」といわれ、購入した服だったことを思い出した。着てみたら意外と気に入ったのだった。明るい色の服を着て威圧しないヒールを履いた20代OL。量産型女子になれた自分が好きだった。どこかでそのことに葛藤もあるけれど、他人の目を気にせずにはいられない私は、「自分の好き」の基準であっても、それを無視することはできない。
そこから私は馬鹿の一つ覚えみたいに白い服を買ったので、今のクローゼットは白い布がたくさんある。役目を終えたのだ、と、ちょっと納得した。