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ワクワクが止まらない。~地下謎への招待状~

それは夫を亡くして初めてのお正月のこと。

悲しみが癒えず、家に閉じこもりがちの当時の私だったが、その一方で冬休みだというのに、子供たちをどこにも連れて行ってあげられない自分が嫌だった。

何か楽しいことをしよう。

そうは思うが、大きすぎる悲しみに感覚がすっかり麻痺していて、何が楽しいかもわからなくなっていた。

そんな折、地下鉄の駅に貼られていた一枚のポスターが目に入った。

地下謎の招待状?

東京全体を舞台に、東京メトロ乗り放題の24時間券と謎解きキットを手に、参加者自身が実際に街を歩きながら、東京メトロの駅やその周辺の街々に隠された謎を解き明かしながらゴールを目指す体験型ゲーム。

地下謎への招待状 2023公式HPより


東京メトロとリアル脱出ゲームでお馴染みのSCRAPが共催する謎解きゲームらしい。

″謎解き″という言葉に、氷のように閉ざされていた私の心が、ちょっぴりだけ動くのを感じた。

「ねぇ、謎解きやってみない?」

と傍らにいた子供たちにそれとなく聞くと

「うん、やる!」

と2人から意外にも元気な声が返ってきた。

予想よりずっと明るい2人の返事に、私は私を悔いた。
子らも行き場のない閉塞感から抜け出したかったのだろう。

ごめん。
私が家の中、暗くしてたよね。


…今思えば、である。

そんなこんなで、地下謎の招待状に挑戦した数年前。

子供たちは、その時の印象がすごく強かったらしく、今でも

「あの時の謎解き、疲れたけどめちゃめちゃ面白かったよね~!」

とか

「○○駅で食べたみたらし団子、美味しかったなあ。」

とか

「ここでお寿司食べながら、謎解いたよね!」

などと楽しそうに話す。

そして今年もどうやら地下謎の季節がやってきたようだ。

先日のお休みに久しぶりにお嬢とお買い物に出かけようと電車に乗ると、あっちにも地下謎民。こっちにも地下謎民。

「ねぇ、アレ…」
「うん。」

私が最後まで言わずとも、お嬢には私が何を言いたいか理解したようだ。

「やる?」

と私が聞くと

「やる!」

とあの時と同じように明るい返事が返ってきた。

私もなんだかワクワクしてきて、当時1日で3万歩も歩いて翌日ダウンしたことも忘れ、まずは謎解きキットを手に入れようとネットで検索してみた。

すると、当時は駅で販売していた謎解きキットは、最初に予約&購入して、何ヵ所か決められた駅で受けとる方式に変わっていた。

そしてとうとう今日、仕事に行く前に、謎解きキットを受け取ってきたYO!

早く中身が見たかったけど、先に見たらお嬢に怒られそうだったので、仕事から帰って家に着いてから初めてお披露目。

ドキドキしながら、謎解きキットを取り出し、最初の謎を解く。

最初の謎を解くと、どの駅からスタートするかがわかるみたい。

うぅーっ、楽しいっ!!
この感じ、この感じ。
ワクワクするねぇ~!!

東京の街全体が謎解きの舞台になり、東京メトロ全線をあっちに行ったり、こっちに行ったり。

普段は絶対降りないような駅で降りるのも新鮮!
疲れたら知らない街の知らないカフェに入ったり、またお団子食べたりするのもいいな。

ワクワクが止まらず、今夜は夜ごはんを食べながら謎解き話で盛り上がった。

近いうち私たちは小さな謎解きの旅に出る。ワクワクは走り出した。




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