見出し画像

他人に目標を立ててもらう「タニモク会」とは

早いもので、1月もそろそろ終わりです。

今年は5月に元号が変わるので、12 月までではなくとも「平成終わるまでにこれをやりきろう」「あれだけはリベンジしておきたい」など、目標を考えた方も多いのではないかと思います。

目標というと、自分で立てるもの=日記などに書きとめたりする個人的なこと、というイメージが強いのですが、目標を公言するどころかさらに一歩進んで「他人に目標を立ててもらう」という面白い取り組みがあると聞いたので、のぞいてきました。

**

会の名はその名も「タニモク」。その名の通り「他人(たにん)」に「目標(もくひょう)」を立ててもらうというワークショップです。

元々は、自分の目標を人前で話すというイベントから始まったたそうで、これまで個人有志や企業などで開催されてきましたが、今回初めて複数の企業から各社数人が参加する形での「タニモク会組織版」が開催されました。

場所は東京・恵比寿にある出版社・英治出版の会員制コミュニティ・スペース「EIJI PRESS Base」。主催者はコミュニティスペースのメンバーでもありタニモク ファシリテーターの日比谷尚武さんと、マーケティングストラテジストの阿座上陽平さん、LITALICOの武貞真未さんの3人です。

今回参加したのは、

・発達障害に関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」
・生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」
・ほしい未来をつくるためのヒントを共有するウェブマガジン「greenz.jp」
・未来の社会づくりに貢献する書籍を発行する「英治出版」

と、ソーシャルイノベーションを主にテーマとして扱うメディア4社の編集部の方たちです。

タニモク会の進め方

タニモク会の進め方としては、まず4人1組でチームをつくります。順番が決まったら、発表者が「今の自分の状況」を表現する図を用いながら他の3人に説明していきます。

表現方法は、文字ではなく絵。そうすることで、発表者の一方的な説明になることを防ぐとともに、図にすることでより想像の幅を広げる狙いがあるそうです。

発表後、話を聞いていた他のメンバー3人が発表者に「どんなことをしていると楽しいのか」「その感情に至ったのはなぜか」など、質問をします。

その後、それそれ発表者に成り代わってA4用紙に代わりに目標を立てて紹介していきます。

ポイントは「もし、私が●●さんだったら〜」と枕詞をつけて話すこと。

ほんの少しの工夫ですが、何かを提案するときはどうしてもポジショントークになりがちなので、こうした条件をつけることで、より当事者目線でものごとが考えることに意識が向くなと感じました。

これを休憩を挟みながら20分×4人分繰り返します。初対面の人に自分のことを話して、さらに相手のことを聞くという、少なくない量のinputとoutputの繰り返すので、結構ハードそう…でしたが、当初の終了時刻を20分ほど超えるなど熱いトークが繰り広げられていました。

日比谷さんによると、

・人に自分の現状を説明することで、今置かれている状況を整理できる
・自分が直面している状況に他人の能力・観点・知識を活かせる
・自分の凝り固まっている先入観を壊すことができる

と、様々な効果があるそうです。

会の終了後は各自おいしいものを持ち寄って、ポットラックパーティ。

清澄白河のエッグタルトや、山口の日本酒、中目黒の売り切れ必至チーズケーキなど情報感度の高いみなさんならではのハイレベルすぎるグルメ会でした。(スーパーで売ってた餃子と唐揚げを買ってきてしまった。。。そして食に夢中で写真撮り忘れました)

**「目標を他人に作ってもらう」考えは日本的? **

海外では同様の取り組みはないのでは、ということでした。「個」が強いとされる欧米などでは「目標は自分で決める!他人に決めさせるなんて!あなたはあなたの人生を生きて!」と、あまりなじまなさそうなのかなと当初思っていたのですが、「アメリカはでも、コーチングやカウンセリングを受けている人が多いね」という指摘を受けました。

確かに、米コーチング市場は調査会社によると10兆円を超える市場。10兆円というと、だいたい日本の主要コンビニ市場と同じくらいで、多くの人にとって一般的になっているのではないかと推察されます。

そもそも、「タニモク会」も、他人の立てた目標がそのまま自分の目標になるわけでもないですし、他の人の意見をもらう、という意味ではコーチングと共通しています。

アメリカでもコーチング市場は拡大傾向にあるようで、日本でこうした目標設定における新たな取り組みの広がり始めているのと同じように、「他の人の持つ視座が、自分の成長への現状打破の手助けになる」ということは万国共通しているのだなと思いました。

裏を返すと、いま世界で「どう生きていくか」という問いに簡単に答えが出せない人が増えていることの表れなのかもしれません。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?