見出し画像

斎藤幸平が語る、資本主義の矛盾と新システムの必要性~資本主義の限界を理解することが第一歩~を読んで思い出したこと

なにを思い出したかと言うと『1986年、モスクワの暑い夏』のこと。

当時のわたしは、国立モスクワ大学(MGU)経済学部政治経済学科の5年生、最終学年で寮の部屋で卒論を書いていました。

テーマは『国家独占資本主義』ー これは、資本主義経済から革命を通じて社会主義経済へ移行する間のハイブリッドな経済体制のことです。従い、社会主義経済についても論文に書く必要がありました。

ところが、当時のソ連では、社会主義経済に関する絶対条件と必要条件について、わが母校のモスクワ大学が『経済の計画性』を絶対条件に、ライバル校、レニングラード大学(現サンクトペテルブルク大学)は『生産手段の社会的所有』を絶対条件として論争が起こっていました。

斎藤幸平さんの記事に話を戻します。

新しい社会システムが必要な理由

(ここからは、斎藤さんの記事をまとめながら引用します。)

なぜなら資本主義には限界があるからだと斎藤さんは書いています。
その限界の一つが物質的な問題、もう一つが資本主義はどうしても膨大で無駄な消費を伴うことです。

【物質的な問題】
資本主義の目的である経済成長は、エネルギーや資源の利用増大と必ずカップリング状態にあります。それをデカップリングしようという試みは気候変動対策に求められるような速いスピードで進めることは不可能なのです。

【無駄な消費】
例えば、まだ走れる車なのに、車検の時期が来たから新しい車に買い替えるといった行為です。資本主義にはそういった、本来ならば不必要な消費行動を促す側面があります。

本気で対策をするのであれば、資本主義とは別の、成長を求めない経済システムを考えなければならないのです。

その方法として、私が著書『人新世の「資本論」』(集英社新書)で挙げたのが、生産手段を共同管理すること、すなわち企業を「市民営化」することです。 注)これは、『生産手段の社会化』の一つの形態です。

労働者が株式を所有し、経営の意思決定に参加していくというだけで、市場の否定でも商品経済の否定でもありません。否定しているのは生産手段の私的所有だけです。
以上、引用終了

無駄な消費が起こる原因は、競争原理による無計画な生産にあります。つまり、経済的効率、合理性を求める原動力、競争原理は、そのままで変わっていません。だから、無駄な生産が続いてしまいます。

それでは、足らないものは?

そう『経済の計画性』です。『計画経済』あって初めて無駄な生産、無駄な消費がなくなるのです。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?