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おしいれのぼうけんのススメ③ 汐見稔幸さん(教育学者)


「50周年」記念帯付き! 『おしいれのぼうけん』

ことしの11月に刊行50周年をむかえる絵本『おしいれのぼうけん』
『おしいれのぼうけん』が大好き!」という各界でご活躍のみなさんの言葉をご紹介していく連載企画、第3回です。

今回ご登場くださるのは、汐見稔幸さんです。

汐見稔幸さん

汐見稔幸(しおみ としゆき)
1947年 大阪府生まれ。教育・保育評論家。専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。21世紀型の教育・保育を構想中。保育についての自由な経験交流と学びの場である臨床育児・保育研究会を主催。同会発行の保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』の責任編集者もつとめ、学びあう保育の公共の場の創造に力を入れている。小西貴士氏らと21世紀型の身の丈に合った生き方を探る新たな研修施設「ぐうたLABO」とエコビレッジ「ぐうたら村」を運営、ぐうたら村村長。
一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事、東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長(2018年3月まで同大学・同短期大学学長)、全国保育士養成協議会会長、日本保育学会理事(前会長)。

家族・保育デザイン研究所 KAHOKEN 公式HPより

今回汐見さんは『おしいれのぼうけん』にこんな言葉を寄せてくださいました。

子どもの魂のリズムに呼応する物語

暗い中で、怖いものに追いかけられ、必死で助け合いながら逃げる、
最後は友情のような関係性が勝ち、光の世界に戻る、これはおそらく
人類が蓄えてきた生き延びる物語の基本形式に近い物語ものだ。
古田さんの作品には、人間の心の深い底に潜む無意識を形象化しようとした
ものが多いが、ハラハラドキドキは子どもの魂のリズムに呼応している
のだ。だから好かれる。絵が語るページと言葉が語るページを織り交ぜ
たという点でも見事な作品というべきだろう。
50年後が楽しみだ。

教育学者・汐見稔幸

「なぜ、『おしいれのぼうけん』は子どもたちに愛され続けるのか」という問いに対するこたえともいえる、汐見さんの言葉。
長年、子どもの育ちや、保育・幼児教育についての研究を深めてきた汐見さんならではの言葉をいただきました。

50年後の子どもたちは、どんなふうにこの物語に心を躍らせるのでしょうか。

『おしいれのぼうけん』の制作当時、保育園を舞台にした絵本はあまり出版されていませんでした。

本作の担当編集者、酒井京子が自身のこれからの仕事に迷い、古田足日さんにどんな本をつくっていけばよいかとたずねたとき、古田さんはこう話したそうです。

 今、日本のこの場所に生きている子どもたち(集団)を生き生きと描いた作品が少ないというよりないに等しい。これからは女の人も働く時代になるだろうから、保育園を舞台にした作品があるといい。そして、子どもが保育園に行っているということは、お父さんもお母さんも働いているということだから、お父さんやお母さんがどういうふうに働いているのか、本をとおして少しでも見ることができるといいね、と。

『本の力 私の絵本制作秘話』(酒井京子・著 童心社刊)より 

古田さんが「あるといい」と思い描いた絵本をめざし、作家・古田足日さん、画家・田畑精一さん、編集者・酒井京子、三者の共同作業がはじまりました。
保育園の取材を重ねる中で得た「おしいれ」にまつわるエピソードがもとになり、子どもたちが心からハラハラドキドキするぼうけん物語がうまれたのです。

「おしいれのぼうけんのススメ」、次回もどうぞお楽しみに!


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