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算命学余話 #U109「丙申を考える」/バックナンバー

 前回の「余話#U108玄」が命に関する重いテーマだったことと、八相局という偏った星並びの理解を深めるものだったせいか、八相官局以外の八相局への関心が集まっているのですが、「この星並びだからこうだ」という安易な飛びつきを予防するために一旦話を通常のレベルに戻します。2月4日に算命学のいう年が明けましたので、恒例の年初の「2016年大予想」を試みると共に、2016年の干支である丙申という組合せについて考察してみます。

 まず2016年の大予想ですが、丙火は陽の火性なので太陽を、申金は陽の金性なので岩石や刀剣を表しています。自然の風景に置き換えると、地上の岩石に燦々と日光が降り注いでいる光景になります。
 岩石から取り出された鉄鋼石は強力な火力を浴びることで製錬され、文明の利器である刀剣へと変化します。鍛冶場の火力としては太陽である丙火よりも炎である丁火の方が適切ですが、陰干の丁火と陽支の申金は干支として縦に並びえませんから、陰陽違いの丙火もこの際火力として刀剣作りに寄与すると考えます。
 刀剣が燃えさかる炎に投じられる姿は苛酷ですが、荒々しい岩石のまま野放しにされるよりは有用の道が拓けます。このことから、刀剣が火力にさらされることを「厳しい試練や教育」と捉える見方は、算命学では常套となります。総じてこの一年は、頭上の太陽によって溶かされるような厳しい試練が降り注ぎますが、それは地上のふやけた人間たちを鍛え上げ、より有用な文明社会を築くのに貢献するだろう、という見立てになります。

 算命学を知らない人にとっても想像しやすいようかなり細かく風景を描出したつもりですが、この調子でいちいちを説明するときりがないので以下は端折ります。基本的には上述のような自然の摂理が理屈となっておりますので、読者の皆さんは以下の予測の理屈がどういう筋道でそうなっているのか、同じ手順でご自由に想像してみて下さい。

 「地上のふやけた人間」のふやけ具合によって、この年の試練は苛酷に感じられたりそうでもなかったりに分かれます。私の見立てでは昨今は弱者に甘い風潮が強く、それは大きくは移民・難民の扱いであったり、中規模では低所得者や生活保護受給者、高齢者への配慮であったり、個人レベルでは性的マイノリティや鬱病患者へのケアであったりと、さまざまなフェイズでここ数年注目されてきた対象への扱いであります。これらをひとくくりにして「弱者」と呼ぶならば、2016年という年は弱者にとって苛酷な一年となることでしょう。
 彼らが丙火という強力な火力に炙られることで、その弱さを克服し、見事刀剣として鍛え上げられれば、苛酷な一年を経た後には既に弱者に甘んじていない、自立するのみならず他者を助ける立場の有用な人物に生まれ変わっていることでしょう。

 逆に弱いままで奮起も努力もしないのなら、なまくら刀として炎の中でドロドロに溶けてなくなることでしょう。つまり、昨今の腫れ物を扱うかのように手厚い保護や支援が善しとされたトレンドは、もはや今年は通用しない。社会はそんなに甘くない、という自立したマジョリティの反撃が教育的指導となって全世界に広がることが予測されます。
 彼らの猛バッシングの標的にされたくないのなら、さっさと自分を鍛えて自立するのが賢明です。家庭レベルではニートや鬱病者に厳しい一年となります。必ずしも外に出て収入になる仕事をしろとは言いませんが、世の中の役に立っているという何らかの建設的実績を上げることが急務です。
 またこの弱者の中には被災者も含まれるかもしれません。弱者への支援というのは強者に余裕があってこそ成立します。強者に余裕がなくなってきている世相を注意深く観察して早めに気付き、手遅れになる前に対処しましょう。成人ひとりが自立することは、物理的にそう難しいことではありません。物理的に難しいのは障害者や重病人だけであり、支援を受けるべきはこれらの人々に限定されていくので、それ以外は否応なくお尻に火をつけられる一年なのだと観念して、人に依存する生活に別れを告げましょう。自立には責任感を育てることが肝要です。

 気候的には、日照りや水不足が懸念されます。隕石の落下もありそうですが、それよりは爆弾の方が脅威かもしれません。紛争地での空爆はまだ続きそうですし、地上の醜い殺し合いも継続が暗示されます。殺し合いを止めるには、理性の力が有効です。腕力ではなく知恵をしぼれば、賢い落とし所を見つけられるでしょう。
 しかしこうした世情の不安は人心に影を落とし、社会は厭世的な気分やメランコリックな絵空事に傾く懸念があります。非現実的な空想や被害妄想、トンチンカンな思い込みや理屈のない不安を煽る、煽動主義が横行する恐れもあります。いずれにせよ、正しい知識と道義に裏付けられた理性を持つ者であれば、煽動に惑わされることはありません。個人個人が自分の理性や分別を磨く努力をすれば、災厄は自ずと遠ざかるでしょう。

 年間予想は以上です。ここから先は「丙申」という干支についてです。具体的には丙申の日干支に生まれた人がどのような性質を帯びているか、冒頭の五行の関係に倣って解説してみます。

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