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シンフォニック=レイン

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#小説

#7 こんな空の下で

#7 こんな空の下で

 笑顔だ。笑顔を作るんだ。

 私がお父様から最初に習ったのは、フォルテールの弾き方でもなく、音楽の基礎でもなく、そんなことだった。
 いつからか私は、笑顔を忘れていたのかもしれない。いや……いつか、なんて曖昧な時期ではなく、それは確かに、私がこの家に来てからのことだった。
 この家?
 ここはどこなんだろう?
 私は本当にそこにいるんだろうか?
 ここは私の家じゃない。私の家はどこ? 私はいった

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To Coda

To Coda

 華やかな舞台の上で、リセルシア・チェザリーニとファルシータ・フォーセットは軽やかに一礼した。演奏の終了と共に会場を包んだ観客の拍手は、未だに鳴り止むことがない。ピオーヴァ音楽学院の生徒が主体となった演奏会の幕引きを飾るに相応しい、素晴らしい演奏だった。

 フォルテール奏者、リセルシアの養父であるグラーヴェ・チェザリーニは、貴賓席のソファーに深く腰をかけたまま、目を閉じている。膝の上に置いた指が

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#5 三人目のマリア

#5 三人目のマリア

 手にしたタクトをゆっくりと譜面台の上に置き、部屋を満たしたフォルテールの音が静まるまで、わずかな時間、目を閉じる。彼にかける第一声は、誉め言葉ではないだろう。しかし、迷いながらも模索するその音色は、評価されるべきかもしれない。
 だから私は、閉じたときと同じようにゆっくりと目を開け、楽譜を閉じた。

「よろしい。今日はここまで」

 時刻は、十七時をわずかに越えた頃だった。学生の個人レッスンをす

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