那須与一と神と私@屋島
屋島を訪ねる
香川県高松市の屋島に行ってきました。
ほんとに絶景です。
屋島は香川県に多い「メサ」という地形です。
台形のような形してます。
山頂が真っ平らな平地が続き、屋島山頂はほぼ平地が南北4kmほど続きます。
他にも五色台やこんぴらさんがメサになります。
このフラットな山頂を利用したのが屋島城(やしまのき)です。屋島城は663年の白村江の戦いの大敗のあとに唐の侵攻を恐れた中大兄皇子の命により要塞化されました。
瀬戸内海の海からの侵攻を想定して当時離島であった屋島や淡路島の守備力を高めると共に海上警備を強めました。
更には中大兄皇子は内陸の大津に都を移しました。余程侵攻を恐れて居たのが分かりますし、白村江の戦いの戦いの損失が致命的だったということもわかります。
幸いにも唐と新羅が仲違いしたため、侵攻を受けるということにはなりませんでしたが、国家の危機だったことは間違いありません。
屋島と源平合戦と那須与一
屋島と言えば源平合戦屋島の戦いですね。
※八栗の方が激戦だったようです。
屋島の戦いと言えば那須与一です。
屋島の戦い事態は源氏の勝利でしたが、勝負の行方が決まった夕暮れに船に逃げた平家側から的が出されます。
「この的を射てみよ」と。
この難題に臨んだのが那須与一です。
その距離72m。
更には海上なので風もある。夕暮れで的も見えにくい。
那須与一は馬上のまま、海に入り呟きます。
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。これを射損ずるものならば、弓切り折り白害して、人に二度面を向かふべからず。いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。」
普通に見たら神頼みですが、最後に外したら切腹すると言っています。半ば呪術の世界です。
まさに旧約聖書でいう「神」との契約のようです。
戦事態は自軍が勝利、そして非常に成功確率の低いものに挑戦。であるのに失敗したら切腹。
どんな罰ゲーム?と言いたくなるような展開です。
那須与一どころか源氏は扇をわざわざ射る必要は無かったのです。
「切腹」という覚悟を決めてまで彼をここまで掻き立てたものはなんだったのでしょうか。
ホントに武士の覚悟というのは見事なものです。
しかし、那須与一は見事に的中させました。
那須与一は見事に神と繋がったのでした。
ちなみに日光は二荒からきています。
世界遺産・日光の構成要素に二荒山神社も入ってますが、元々は二荒が先なのです。
二荒は「ふたら」ですが、これを「にこう」と呼び、「にっこう」になったとか。
余談でした。
「神」と繋がる「御」「射」
前回、儒教の六教の中の1番目、2番目である帝王学「礼」と「楽」を紹介しました。「礼」は神や鬼、先祖などの超越するものと繋がるためのものです。「楽」は祭祀です。神々を楽しませるもので、こちらも「超越するもの」と繋がるものです。
では(帝王学である「礼」や「学」を学べずに)神と繋がることの禁じられた一般人はどうしたのでしょう。
それが「御」であり「射」でした。
こちらが六教の3番目と4番目になります。
「御」は動物という人とは違う世界ものと以心伝心するということです。那須与一は馬上から弓を放つことで72mもの距離のある的に当てることができました。
通常、強い弓を打とうとすれば両脚を地につけることを想定しますが、到底届きません。那須与一は馬と呼吸を合わせ、かつ馬の筋力をも利用することで70mを超える距離を届かせました。
そして「射」です。こちらは文字通り弓道です。弓道において的は襲って来たりはしません。つまり弓を射るということは自身との対話です。時間をかけてさ呼吸を整え、身体のこわばりなどの緊張を感じます。
こちらも私の想像ですが「肉体」という「己の精神」を超越したものとの会話、繋がりという事だと思います。
那須与一は「御」と「射」を極めることで神々と繋がることに成功し、見事に的を居抜きました。
私と「御」と「射」
私は自転車が好きです。脚質はなんちゃってクライマー(ゆる坂が得意)です。しかし、愛車自転車はスプリンター向けで不一致です。
ですが、最近愛車の「御」が上手くなってきた気がします。と言ってもペダリングが上手くなったというわけではありません。
自転車も自然環境に大きく左右されるものです。風や道路の勾配などちょっとしたことに左右されます。その時の状況に応じてこのスプリンター仕様の愛車の特性を活かせるようになったと思っています。
更に愛車に跨ることで自身の身体との対話ができるようになってきました。
元々体力はあるため、力づくで漕いでたりしました。ただ今は力んで肩に力入って方上がってるなーとか、前重心になってるなーとか、母指球感じられてないなー、大腿四頭筋使いすぎ。など身体の声を聴けている気がします。
この「御」と「射」の成果はメンタルにも現れました。今までヒルクライムはトレーニングで嫌々やっていました。坂が近づくと吐き気にも近い「恐怖」を感じてました。
しかし、今はヒルクライムが怖くなくなりました。むしろ楽しみですらあります。
こんな絶壁を迎えても私の心はテンション上がってました。うおおおおおと。
そしてニコニコしながら登りました。
すると神が舞い降り、横を見ると五剣山に雲がかかるという神秘的な光景が…
私が「御」と「射」を意識してからヒルクライムが楽しくなったのは身体との対話により脱力できている事が大きいと思います。
脱力して呼吸筋の動きを感じ、腹圧を感じ、酸素の足りいない部分に酸素を送ります。これが劇的に効果があり疲労感は以前の比ではありません。
それは心拍数にも現れていて、私は最高心拍を193くらいまで上げることが出来るのですがキツい坂では187とかまでよくあがってました。
ですが今は170程度に抑えられてます。 今日の屋島も最高で176でした。余裕をもって心地よく終えました。
私の「射」は力まずに自分の心地よいケイデンス68~72をキープすることです。
昔はきつい坂では出来てなかった気がしますが、脱力している今は出来ています。
また大まかな予測も付けられるようになりました。
今のヒルクライムのやり方だと平均〇%の坂が何キロあるというのがわかればおおよその時間が掴めます。
屋島は3.7km 平均7.3%という激坂です
しかし、予想で平均速度12~13キロ、20分あれば登れると予想。
その予想のもと6:30にホテルを出て1時間でホテルに帰れるだろうと。
そして予定通り7:30にホテルに戻りました。
屋島ヒルクライムは時速12.7km/hで17分26秒でした。
寝たのが遅かったですがほぼ想定通り。最初は脚が重かったですがそれは踏みすぎの証拠でハムストリングを意識する乗り方にシフトして解決。あとはケイデンスをキープして淡々と。散歩している人に「おはようございます」も忘れずに。
今は暑くないので楽しめているだけかもしれません。しかし、この感覚を失わずに突き詰めていきたいと考えています。
これからも愛車と身体との対話「御」と「射」を忘れないようにしたいです。
そしてこの2つを感じることで自然との対話もより深めていきたいと思います。
屋島山頂は梅がきれいに咲いてました
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